「上がり過ぎ」修正、この後は?
先週の米ドル/円は、107円近辺での上値の重い展開となりました。米ドル/円は依然として、106~108円中心の方向感の乏しい展開が続いています。
ところで、そんなふうに小動きが続く米ドル/円を尻目に、6月にかけて大きく上昇した通貨ペア、たとえば豪ドル/円や豪ドル/米ドルなどは、軒並み先週にかけて反落となりました(図表1、2参照)。そこで今回は、その理由と、今後の行方について考えてみたいと思います。
6月にかけて大きく上昇したのは、豪ドル/円、豪ドル/米ドル、ユーロ/米ドル、そして通貨ではありませんがNYダウなどの株価もそうでした。それらの多くは、先週にかけて反落が目立ちましたが、その主因は基本的には「上がり過ぎ」の修正だったでしょう。
たとえば、豪ドル/円、豪ドル/米ドルとも、90日MA(移動平均線)からのかい離率を見ると、経験的にかなり「上がり過ぎ」懸念が強くなっていたことがわかります(図表3、4参照)。ところで、「上がり過ぎ」修正に伴う反落はどの程度続くものなのか。これについて、豪ドル/米ドルの経験を参考にすると、1週間~1ヶ月程度でした。
今回の「上がり過ぎ」のピークは、多くの相場で6月10日前後でした。ということは、「上がり過ぎ」修正に伴う反落は2週目に入っている計算になるので、早ければそろそろ一巡する可能性もありますが、長引く場合は7月にかけてもう少し続く可能性もあるでしょう。
ところで、上述のように6月にかけて一段高となった多くの通貨ペアは、52週MAを上回るところとなりました。そして先週までに、たとえばユーロ/米ドルは4週連続、豪ドル/円、豪ドル/米ドルは3週連続で52週MAを上回りました。
経験的に、52週MAを1ヶ月以上といった具合に長く上回る動きは一時的ではなく、継続的なトレンドが展開している可能性が高いと言えるものです。足元の52週MAは、ユーロ/米ドルが1.105ドル(図表5参照)、豪ドル/円が72.5円、豪ドル/米ドルが0.67ドル。
仮に、これらの水準を今週末も上回るなら、6月にかけて一段高となった動きは一時的なものではなく、むしろ短期的な「上がり過ぎ」修正の後は、改めて上昇に向かう可能性が高くなるでしょう。
そして、上昇トレンドが展開しているなら、それと逆行する一時的な下落は、52週MA前後までがせいぜいというのが経験則の示すところ。その意味では、52週MA前後の水準は絶好の「押し目買い」の目安になりそうです。
そうではなくて、今週末以降、52週MAを下回ってくるようなら、6月にかけての上昇があくまで一時的なものであり、実はトレンドとしてはまだ下落が続いている可能性が出てきます。
これまで見てきたように、6月にかけて一段高となったのは、豪ドル/米ドル、ユーロ/米ドルといったドルストレートもあれば、豪ドル/円、ユーロ/円といったクロス円、また通貨ではなく株価もありました。この中で一時的な上昇に過ぎない動きと、継続的な上昇トレンドに分かれる局面を迎えている可能性があるのかもしれません。