先週金曜日に発表された米雇用統計の大幅改善とそれを受けた米国株相場の急騰を受け、週明けの東京市場も続伸で始まるだろう。日経平均は2万3000円の大台に乗せて始まりそうだ。仮に先週金曜日のシカゴの日経平均先物と同じ2万3140円をつけると仮定すると、その時点で、1月高値から3月安値までの下げ幅(7500円余り)に対して6500円余り戻したことになり、戻り率は87%を超える。2万3000円台まで戻れば「コロナ前」に戻ったと言える。「コロナ前」は2万3000円~2万4000円のレンジ相場だった。米国のナスダックは取引時間中の高値を更新した。株式市場はコロナ禍を克服したと言える。

(僕以外)誰がこんなに早いV字回復を予想しただろう。相場の常で、株価が上がってくるにつれて弱気は影をひそめるが、ちょっと前までは弱気論が大手を振っていた。2番底を見込んだ売り方も大勢いただろう。今の上げ相場は、そうした連中が担がれて損失覚悟で買い戻す「踏み上げ相場」であるというのも、定説になっている。

そんな買い戻し主導の需給相場も今週末のメジャーSQまで…といった声もあるが、まったく根拠がない。SQの前日が6月限の最終売買日。だが、先物は日々Mark to Market(値洗い)されているので、信用取引のように含み損を抱えたまま期日を迎えるなどということはない。だから最終売買日とかSQとかは特別な意味を持たない。ポジションを継続したければロールオーバーするだけの話だ。

SQだから買い戻し相場が終わるというのではなく、相場がここまで上がったから「買い戻し」は終焉ということだ。日経平均は1月につけた高値までは、あとわずか4%だ。年初来高値更新も視野に入る。高値をとっていく相場が「買い戻し」のわけがないだろう。

週明けの景気ウオッチャー調査は先行きに注目したい。9日に発表される5月の工作機械受注の速報値で外需中心に底打ち感が見られるかにも注目したい。4月の工作機械受注の確報で、中国向けの受注額は前年同月比26%減の115億円だった。26カ月連続の前年割れだが下落率は3月の43.8%と比べて大幅に縮小した。次世代通信規格5G向けなどの投資を活発化していることがうかがわれる。

米国ではFOMC後のパウエル議長の会見に注目が集まる。雇用統計が改善し株式市場が大幅高になった後だが、引き続き大規模な金融緩和にコミットするような姿勢が表明されれば、市場は安堵するだろう。

今週の予想レンジは2万2900円~2万3500円とする。