3月下旬から3割近くも上昇した豪ドル
世界的に株高が急拡大し、リスクオンが広がっている。こういった中で、豪ドルなど資源国通貨、そしてメキシコペソ/円など新興国通貨も上昇傾向が加速しているが、一部には短期的な「上がり過ぎ」懸念も出始めたようだ。
豪ドル/米ドルは3月下旬の安値、0.55米ドルから、足元では0.7米ドル程度まで上昇した。この間の上昇率は27%以上。これを90日MA(移動平均線)からのかい離率で見ると、一時のマイナス17%からプラス5%以上となった(図表1参照)。
【図表1】豪ドル/米ドルの90日MAからのかい離率(2000年~)
つまり、豪ドル/米ドルは、リーマン・ショック以来の大幅な「下がり過ぎ」の修正でこの間上昇してきたわけだが、最近はそれから一転して「上がり過ぎ」気味になってきた可能性がありそうだ。経験的には、90日MAからのかい離率がプラス5%以上になると、「上がり過ぎ」警戒域といえる。
次に豪ドル/円の動きを見てみよう。こちらもこの間の安値、59.9円から、足元では75円を大きく上回り、最大上昇率は28%程度に達している。そんな豪ドル/円の動きで少し気になるのは金利差との関係。豪ドル/円の動きは、ある程度金利差に沿ったものだったが、70円を上回ってからは金利差とのかい離が目立ってきた(図表2参照)。
【図表2】豪ドル/円と日豪金利差 (2019年7月~)
豪ドルも、3月下旬にかけて「コロナ・ショック」で急落、「下がり過ぎ」が拡大した。この間の上昇は、そんな「下がり過ぎ」修正が基本だったが、最近はそれから転じて、徐々に「上がり過ぎ」が警戒される状況になり始めているようだ。