米中が対決色を再び強めるリスクや、レナウンが民事再生手続きに入ったことが報じられました。週明けの東京株式市場は、なんとなく弱い相場を想定していた市場参加者も少なくなかったと思われます。しかし日経平均は2万円台を維持、TOPIXも続伸となりました。そうした中でも、新興市場を中心にバイオ株が物色されました。マザーズ指数はアンジェス、ジーエヌアイ、そーせいGなどのバイオ株がプラス寄与上位となり、8日につけた直近高値を更新。東証2部指数や日経ジャスダック平均は小幅高で推移し、ともに10日線上を維持して終えました。

さて、アンジェスがこのところマザーズ市場の売買代金ではトップの座を継続しています。1社の売買代金が市場全体の50%を超える規模に膨らむときもあります。同じバイオ株では、かつてのそーせいGのような存在になりつつありますね。ただ、1銘柄でここまで占有率が大きくなると、市場の不安定要因になりますし、アンジェスの動きでバイオ株全体の雰囲気が変わってしまう。

一方、リスク要因だけではなく、市場のけん引役が登場することによって、中期的には市場活性化の兆候ととらえることができます。マザーズ指数は2018年の年初に高値を付けてから下落基調が続く中でも、途中リバウンド局面は何度かあったのですが、市場全体を引っ張るけん引役が不在の状況が多かったわけです。これでは長続きしません。

例えば、そーせいGがかつてマザーズ市場で大暴れした際、マザーズ指数も大きく動きました。上昇した後の調整も深かったのですが、その後は下値を切り上げて上昇していった経緯があります。そうした意味では、当面のアンジェスへの人気度、売買代金の動向には注目です。

アンジェスの時価総額(5月18日現在、1830億円程度)は、以前はそーせいGの時価総額(同、1380億円程度)に近づくと天井を打ってきましたが、最近は逆転、これからは恒常的に上回っていく可能性が高い。マザーズ市場全体でみた時価総額順位も上位4位と、それなりに影響が大きくなっているため、個別の株価動向に注目です。そして、バイオ株全体に与える影響からマザーズ市場の物色の広がりがどうなっていくか、大きな流れに注目していきたいと思います。