【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 23,764.78 ▼457.21 (5/12)
NASDAQ: 9,002.55 ▼189.79 (5/12)
1.概況
米国市場は米国立アレルギー感染症研究所の所長が議会公聴会で経済活動の再開を急げば感染の再拡大を招き深刻な結果をもたらす可能性があると発言したことを受けて新型コロナウイルス感染の第2波への警戒感が強まり大幅下落となりました。経済活動再開への期待から取引開始直後に160ドル高まで買われる場面もあったダウ平均ですが上げ幅を縮めると昼過ぎから売りが優勢となり引けにかけて急速に下げ幅を広げる展開となりました。結局ダウ平均は457ドル安の23,764ドルと続落となりほぼ安値引けとなっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も189ポイント安の9,002ポイントと7日ぶりに反落となっています。
2.経済指標等
4月の米消費者物価指数(CPI)は前月比0.8%低下し2008年12月以来の大幅な落ち込みとなりました。市場予想とは一致しています。4月の米財政収支の赤字額は7378億5100万ドルと単月として過去最大となっています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げ、不動産が4%を超える下落となったほか、資本財・サービスも3%近く下げました。また、金融、エネルギーと一般消費財・サービス、情報技術も2%以上下げています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄はウォルマート(WMT)を除く29銘柄が下げました。そのなかでもキャタピラー(CAT)とJPモルガン・チェース(JPM)、ゴールドマン・サックス(GS)が3%以上下落したほか、ウォルト・ディズニー(DIS)やナイキ(NKE)、インテル(INTC)、スリーエム(MMM)、ボーイング(BA)、ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(WBA)なども3%近く下げています。
ダウ平均構成銘柄以外では、資産運用大手のブラックロック(BLK)が筆頭株主の米銀行大手が保有する株式をすべて売却すると発表したことで8%近く下げています。一方で配車サービス大手のウーバーテクノロジーズ(UBER)が買収を検討していると伝わったことで食事宅配のグラブハブ(GRUB)が急伸し29%余り上昇しています。
5.為替・金利等
長期金利は0.05%低い0.66%となりました。ドル円は107円台前半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国株安を受けて下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が朝方の売り一巡後に下げ渋るような展開となるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)