確定拠出年金(英語名「Defined contribution pension」)は企業型と個人型の2つのタイプがあります。その加入者数は合わせて約900万人と、老後資金を準備する制度として多くの方が利用するようになりつつある、今注目の制度です。確定拠出年金はひとりひとりの年金資産を個別に管理する仕組みになっていることから、転職時にそれまでに積み上げた年金資産を容易に持ち運び、老後への準備を途切れることなく継続できる特性があります。

転職者が2019年は351万人にも達しているそうですから、今の時代にあった老後資金づくりの制度といえます。ただ、それは必要な手続きさえ怠らなければ、という前提付きです。必要な手続きを怠ってしまうと、それまでに積み上げた年金資産を持ち運び(ポータブル)できなかったり、追加の手数料がとられます。

iDeCo(イデコ)の加入継続も手続きが必要

今回は個人型確定拠出年金iDeCo(以下iDeCo)加入者が、転職後もiDeCoに加入継続するパターンを取り上げます。iDeCoの加入継続手続きは不要と思っている方が多いのですが、実はそうではありません。

iDeCoの加入継続可能なパターンとは

まず、iDeCoの加入継続できるパターンとしてどのような方が該当するのかみていきましょう。iDeCoに加入できるのは、離職後、以下のいずれかに該当するケースです。

【1】自営業者になる

【2】サラリーマンの被扶養者になる(パートタイムなど、扶養の範囲内での就業を想定)

【3】公務員になる

【4】民間企業のうち企業型確定拠出年金(以下「企業型DC」という)のない会社に勤務する

【5】民間企業のうち企業型DCがあるが、iDeCoと同時加入を認めている会社に勤務する

これらの5つのケースは、「被保険者種別」や「掛金の拠出上限」が異なります。そのため、転職後に加入継続を希望する場合も手続きが必要です。とくに前職よりも掛金の上限金額が低くなる場合は要注意です。拠出上限を超えた金額で購入してしまった預金や保険商品・投資信託はその事実が確認された時点で解約され、手数料として1,500円程度が差し引かれます。売却の時点で、商品によっては解約手数料がとられますし、投資信託は時価での売却ですから元本割れする可能性も大いにあります。

【図表】

出所:筆者作成

 

iDeCoの加入継続時に必要な書類

【3】~【5】のケースのように勤務先の事業主が変わる場合には、被保険者種別や掛け金上限が変わらなくても「加入者登録事業所変更届」の提出が必要です。なぜなら、自分の掛金上限の金額などを証明してくれる事業主が変わるからです。

必要であれば住所変更も

それから、転職に伴って転居した場合には、「加入者等氏名・住所変更届」を提出して住所変更をする必要があります。これを忘れてしまうと、税金の還付に必要な「小規模企業共済等掛金払込証明書」などの大切な書類が届かなくなってしまいます。

変更届:書面による手続きが必要

iDeCoにはまだインターネット等による簡易な手続き方法がなく、書面による届け出が必要です。金融機関のコールセンターへの電話にて、手続きに必要な書類の送付を依頼します。

一般的に以下の手順で手続きが行われます。

【1】本人確認(住所・生年月日等)

【2】iDeCoの継続意思や勤務先における企業型DCの有無、住所変更の有無などの確認

【3】必要書類一式の送付

【4】書類の記入、返信

民間企業に転職する場合には、転職先に企業型DCがあるのかどうかは必ず確認されますから、コールセンターへ電話する前に転職先に聞いておくとよいでしょう。

ここまで読んでいただいてお分かりのとおり、iDeCo加入者として継続するケースでも、それなりの手続きが必要です。手続きが遅れると無駄な手数料がかかってしまうケースもありますので、転職が決まったらなるべく早めにコールセンターに電話して、手続きをすることをおすすめします。老後に向けた資産形成の歩みを着実に継続していただきたいと思います。

(本記事は公開日の2020年5月1日時点の情報となります。)