初心者が投資を始めるにあたっての注意点やアドバイスをマネクリ編集部が投資のプロにたずねました。今回は為替の見方、考え方について、経済アナリストの田嶋 智太郎氏にQA形式で回答してもらいました。

このコロナショックのタイミングで初心者が投資をはじめる場合に、注意しておいたほうがよい点や心構えがあれば教えてください。

まず、現状においては新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴って世界が一時的にも大不況状態に陥るという過去にあまり例のない状況下で、投資判断に有用な材料が平時とはかなり異なっているということを理解しておきたいところです。

FX取引(為替証拠金取引、以下FX取引)に関しては、各国・地域の経済指標や景気データなど、すでに「過去」となったものはあまり重要視されず、何より「今」から「将来」に向かっての方向性の違いということが当面は注視されます。

それは、例えば「感染症の封じ込めにいち早く成功するのは日・米・欧のうちのどこか」などといった点であり、それは早期の景気回復を実現することによって将来の財政不安をいかに低減させられるかということにも結びつきます。

各国・地域で財政が膨張していることは共通しますが、その後始末にかかる時間は其々に異なり、それは長い目で通貨の強さに反映されるものと考えます。

過去ご経験された暴落相場ではどのような対処をしましたか。

私がFX取引を開始したのは、米ドル/円が2005年に101円台まで下落し、そこから一旦124円台まで大きく上昇する場面でした。その後、2011年に75円台まで強烈に円高が進んだ際のことは今も強く印象に残っています。

FXは、「売り(ショート)」から取引に参加するということが可能です。2011年の米ドル/円が75円台に向けて大きく下落した場面では小まめにショートを振りました。

こうした場面ではあくまで比較的短期の取引を行うのが主流です。

こうした場面ではあくまで比較的短期の取引を行うのが主流です通貨ペアやレバレッジの考え方を教えてください。

投資判断に用いることができる情報の豊富さという点で、やはり基本はドル円からレバレッジの考え方は、差し入れ証拠金ベースで1~3倍程度から始める(例えば、証拠金を100万円ほど差し入れたうえで1~3万ドル程度を売買する)といったところから、まずは検討を始めるのがよいと思います。

初心者が投資対象を考えるにあたっては何を重視するべきだと考えますか。また、そう考える理由を教えてください。

自らの理解が及ぶ範囲内のものであるかどうかを重視しましょう。もちろん、学習や研究の努力によって対象範囲を広げることは十分に可能です。理解が及ばないものに手を出して損失が発生した場合、何故、上手く行かなかったのか、どこで手仕舞いしたらいいのかということの見当もつかなくなってしまいます。

投資初心者に「今、してはいけないこと」をアドバイスするとしたら?

それは、一度に手持ちの資金をまとめてつぎ込むことでしょう。月並みですが、暫くは投資資金の分散、投資対象の分散(為替であれば通貨ペア、株式投資であれば投資対象の企業)と投資機会(時間)の分散がとても重要であると思います。

その他、初心者投資家へのエールがありましたらお願いします。

私は株式投資も行っていますが、そこではより多くの投資家の皆さんと将来有望な企業を発掘・応援し、共に成果を上げて行きたいと常に願っています。是非とも、ご一緒致しましょう。