前回のコラム「米ドル/円は上昇相場を軸とすべきではあるが」では、2月20日までの上昇があったことで上げ相場を軸とするとしたものの、2月24日までの下げ幅を見る限り、今一度昨年重視してきた108.5円水準を試す可能性があると述べました。

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

2月20日高値は1月17日V値、2月3日NT値に見合う位置にあり、この高値からの反動は相場水準を特に強調しかねぬものであります。

実際の変動は2月26日1月17日高値水準で陽線をつけたものの反発なく下げ、3月2日、1月8日安値をも割り込む107.365円までの下落となりました。

3月3日現在108.333円まで戻しているものの、この水準は3月の月足転換線108.330円に見合うものであり、現在位置からの下落の可能性も残されていると言えるでしょう。

何よりも1月8日安値位置は2015年12月15日高値から329日の下落に対し2018年10月高値から326日という時間関係にある安値でした。

大きな下げ三波動構成変化日は以降5月までない状態であり、長期変遷上の重要変化日3月11日、24日以降の下落では下げの時間のみ残されてしまうこととなってしまいます。

【図表2】米ドル/円(週足)
出所:筆者作成
【図表3】米ドル/円(週足)
出所:筆者作成

3月11日は3月2日安値から8日目、8日間の下落に見合うものとなっています。

また3月24日は3月2日安値から17日目、基本数値であり、仮に3月2日安値を割りこまないケースでは3月2日安値を下げ止まりとしてよいかを測る変化日となります。

今日3月3日は2月20日高値から9日目ですから、以降、転換線は下げ続けることになり、まずは転換線を越えられるかどうかが大事、基準線は3月24日まで受動的には動きません。

目先3月2日安値を割るようであれば3月8日、24日までの下落は当然念頭に入れるべきです。

週足、月足の均衡表も確認しておきます。

【図表4】米ドル/円(週足)
出所:筆者作成

週足均衡表では今回の下落で随分様相が変わりました。

2月高値時点で上値を阻む均衡表がない状態であったものが、逆に戻りの限界を示唆する可能性が出てきてしまったということになります。現時点で下支えとなりうるものは遅行スパンに対する相場実線、先行スパン下限107.646円となりますが、2月20日から下げ幅が大きいだけに今一度下げたときにこの水準で止まる可能性を楽観すべきではありません。

また9週足も先週陰転し今週107.827円以上で陽転となりますが、基準線を上抜く上昇がなければ陽連継続は難しいことが判ります。

【図表5】米ドル/円(月足)
出所:筆者作成

月足均衡表の基準線、転換線は当面受動的には動きません。

2月変動では9ヶ月足陽転の可能性があったものの結局陽転できず、3月は108.197円以上でようやく陽転できることになります。ただし転換線水準108.330円以上での推移なければ陽連は難しく、逆に下げれば陰連継続となります。

遅行スパンもまた2月高値の段階では3月に入り好転してくる可能性がありましたが、結局好転できずにいます。2月変動は先行スパン上限を一瞬超えた形になりましたが、単なる綾であったということでもあります。

いずれにせよ現時点での下げ止まりの確証は得られません。3月11日までの変動でヒントを探るということになります。

 

※本文ならびにチャートの時間軸は取引日で作成しています。