【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 27960.80  ▼1,031.61 (2/24)
NASDAQ: 9221.28  ▼355.31 (2/24)

1.概況

先週末の米国市場は新型肺炎の拡大懸念が引き続き重石となり続落となりました。73ドル安でスタートしたダウ平均は下げ幅をさらに広げ327ドル安まで売られたあと昼過ぎに150ドル安程度まで持ち直す場面もありましたが、その後再び下げ幅を広げると結局227ドル安の28,992ドルと節目の29,000ドルを割り込んで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も174ポイント安の9,576ポイントとなっています。

昨日の米国市場は新型肺炎の感染拡大からアジアや欧州株が大幅安となった流れを引き継ぎ急落となりました。ダウ平均は589ドル安と大きく下落してスタートするとさらに下げ幅を広げ昼過ぎには1,079ドル安まで下落しました。その後取引終盤に770ドル安程度まで持ち直す場面もあったダウ平均ですが引けにかけて再び下げ幅を広げると結局1,031ドル安の27,960ドルと節目の28,000ドルを割り込んで取引を終え、下げ幅は過去3番目の大きさとなっています。また、ナスダック総合株価指数も355ポイント安の9,221ポイントとなりました。

2.経済指標等

先週末に発表された2月の米製造業PMI速報値は50.8となり市場予想を下回りました。また、米サービス業PMIが49.4と2013年10月以来の低水準となり米総合PMI速報値も49.6と好不況の境目とされる50を下回っています。一方で1月の米中古住宅販売件数は年率換算で前月比1.3%減の546万戸となりましたが市場予想を上回っています。

3.業種別動向

先週末の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち8業種が下げ、情報技術が2%を超える下落となったほか、一般消費財・サービスとコミュニケーション・サービス、エネルギーも1%を上回る下げとなりました。一方で不動産と生活必需品、ヘルスケアの3業種が上げています。

昨日の業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでもエネルギーと情報技術が4%を超える下落となったほか、一般消費財・サービスとコミュニケーション・サービス、金融、ヘルスケアも3%以上下げています。

4.個別銘柄動向

先週末の米国市場でダウ平均構成銘柄は30銘柄中21銘柄が下げました。そのなかでもマイクロソフト(MSFT)が3%を超える下落となったほか、アップル(AAPL)とナイキ(NKE)も2%を上回る下げとなっています。一方でユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)とジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)が1%余り上げています。ダウ平均構成銘柄以外では、ソフトバンクグループ(9984)傘下のスプリント(S)がTモバイルUS(TMUS)との合併における株式交換比率を修正すると発表したことで合併が進みやすくなるとの期待から買われ6%高となっています。また、クラウドデータ保管・共有のドロップボックス(DBX)が決算で売上高や1株利益が市場予想を上回ったことで急伸し20%近く上げています。

昨日の米国市場でダウ平均構成銘柄は30銘柄全てが下げました。そのなかでも米大統領選の民主党候補の指名争い第3戦となるネバダ州党員集会で国民皆保険制度の導入を掲げるサンダース上院議員が勝利したことからユナイテッドヘルス・グループ(UHN)が8%近く下げたほか、アメリカン・エキスプレス(AXP)とシスコシステムズ(CSCO)も5%近く下げています。また、ビザ(V)とアップル(AAPL)、ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(WBA)、エクソンモービル(XOM)も4%台後半の下げとなっています。ダウ平均構成銘柄以外では、新型肺炎の感染拡大で航空需要が落ち込むとの見方から空運株が売られました。アメリカン航空グループ(AAL)が8%を超える下落となったうえ、デルタ航空(DAL)も6%以上下げています。また、ユナイテッド航空ホールディングス(UAL)も3%を上回る下落となりました。

5.為替・金利等

先週末の長期金利は0.04%低い1.47%となりました。昨日の長期金利は0.10%低い1.37%となりました。ドル円は大きく円高に振れ110円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

米国市場が急落となったことから本日の日本市場も大きく下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は下値模索の展開となりそうで、200日移動平均線(先週末で22,193円)を維持できるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)