雇用統計相場を振り返る

注目された2月7日の米1月雇用統計発表で、NFP(非農業部門雇用者数)は、22.5万人増加となり、事前予想の16万人増加を大きく上回ったが、米ドル/円は110円突破に失敗すると小反落となった。これは、相関性の高い米国株が、NYダウが277ドル安となるなど、比較的大きく下落したことに連れた面が大きかっただろう。

では、米国株はなぜNFPの良い結果にもかかわらず反落という反応になったのか。NYダウは、1月31日の安値、2万8169ドルから、雇用統計発表前日の2月6日までに1,200ドル以上も上昇し、一気に最高値を更新していた。その意味では、NFPの良い結果にもかかわらず、一息入れたとしても不思議ないのではないか。

そして2月7日こそ反落となったNYダウだったが、週足で見ると、結果的に新たな強気相場の始まりとなった昨年6月初め以来の大幅な陽線となった。その意味では、NYダウとしては、7日の日足陰線(株安)より、2月第1週の週足陽線の方が先行き示唆として重要なのではないか

それにしても、なぜNYダウは1月末にかけての2週連続の陰線、「新型肺炎ショック」から、先週は大幅な陽線に転じたのか。それはやはり景気回復が続いている影響があるのではないか。

定評の高いGDP予測モデルであるGDPナウは、雇用統計が発表された2月7日、今年第1四半期のGDP成長率について、2.9%から2.7%に小幅に下方修正した。ただ下方修正とはいえ、2.7%という数字は依然としてかなり高く、昨年第4四半期の2.1%から、今年に入り米景気回復はさらに加速している可能性があるといった意味になるだろう。

こういった中で、1月後半の株安も限定的にとどまり、株高に急反転した流れはさらに新たに広がる可能性が高いのではないか。