【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 28256.03  ▼603.41 (1/31)
NASDAQ: 9150.94  ▼148.00 (1/31)

1.概況

先週末の米国市場は米国務省が中国本土への渡航中止と退避勧告を発表したことなどで新型肺炎の感染拡大による世界景気悪化への懸念が高まるなか、景気後退の前兆とされる逆イールドも発生し大幅反落となりました。ダウ平均は46ドル安でスタートすると一日を通して下げ幅を大きく広げる展開となり取引終盤には689ドル安まで売られました。結局ダウ平均は603ドル安の28,256ドルで取引を終え4日ぶりの反落となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も148ポイント安の9,150ポイントとなりこちらも4日ぶりに反落となっています。

2.経済指標等

1月の米ミシガン大学消費者態度指数確報値は99.8と速報値から上方修正され市場予想も上回りました。また、2019年10-12月期の米雇用コスト指数は前期比0.7%上昇し市場予想と一致しました。12月の個人消費支出(PCE)も前月比0.3%増となり市場予想と一致しています。変動の激しい食品とエネルギーを除いたPCEコアデフレータも前年同月比1.6%上昇しこちらも市場予想と一致しています。一方で12月の米個人所得は前月比0.2%増となり市場予想を下回りました。1月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)も42.9と前月から悪化し2015年12月以来4年ぶりの低水準となり市場予想を下回っています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち一般消費財・サービスを除く10業種が下げました。そのなかでもエネルギーが3%以上下落したほか、情報技術と資本財・サービス、素材、金融も2%以上下げています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄は30銘柄中26銘柄が下げました。そのなかでもダウ(DOW)が5%近く下げダウ平均構成銘柄で下落率トップとなったほか、ビザ(V)とアップル(AAPL)、エクソンモービル(XOM)も4%を超える下げとなっています。また、シェブロン(CVX)とインテル(INTC)も4%近く下げています。一方で最高経営責任者(CEO)の交代で出遅れていたクラウド事業重視の経営体制となることが好感されIBM(IBM)が5%余り上げダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなっています。ダウ平均構成銘柄以外では市場予想を上回る決算を発表したアマゾン・ドット・コム(AMZN)が7%以上上げ上場来高値を更新しています。

5.為替・金利等

先週末の長期金利は0.08%低い1.50%となりました。ドル円は108円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

米国株安と円高を受けて本日の日本市場は大きく下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は節目の23,000円を大きく割り込みそうですが、中国人民銀行が18兆円を上回る大規模な資金供給を発表するなか春節の休場明けで取引が再開される上海市場の動向が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)