【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 28734.45 △11.60 (1/29)
NASDAQ: 9275.16 △5.48 (1/29)
1.概況
米国市場はFOMC後に上げ幅を縮める展開となるなか小幅に高安まちまちとなりました。アップル(AAPL)などの好決算銘柄への買いを支えにダウ平均は取引開始直後に221ドル高まで上昇した後5ドル高まで急速に上げ幅を縮めましたが、前日終値を前に下げ渋ると持ち直しFOMCの結果発表直後には180ドル高程度まで再び買われました。しかし、パウエルFRB議長の会見がややハト派的と受け止められ金利が低下すると金融株に売りが出て引けにかけて上げ幅を縮める展開となりました。結局ダウ平均は11ドル高の28,734ドルで取引を終えています。
また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も5ポイント高の9,275ポイントとなっています。一方でS&P500株価指数は2ポイント安の3,273ポイントとなりました。
2.経済指標等
米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策は据え置きとなりました。また、FOMC後の会見でパウエルFRB議長は、米景気は穏やかな成長が続くとの見方を示し、当面は政策金利を据え置く方針を示しています。しかし、新型肺炎の影響などで世界景気の見通しには不透明感があるとの見方を示しています。12月の中古住宅仮契約指数は前月比4.9%低下の103.2となり市場予想も下回りました。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうちエネルギーや不動産、生活必需品などの7業種が下げ、エネルギーは1%余り下落しました。一方で資本財・サービスや素材などの4業種が上げています。
4.個別銘柄動向
決算で1株利益が市場予想を上回ったダウ(DOW)が5%以上上げダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなりました。また、市場予想を上回る決算を発表したアップルが目標株価の引き上げが相次いだことで2%余り上昇したほか、マクドナルド(MCD)も市場予想を上回る決算を発表したことから2%近く上げています。
一方でAT&T(T)が決算で有料テレビや動画配信サービスの会員数が減ったことが嫌気され4%近く下げています。さらに2020年1-3月期の売上高見通しが市場予想を下回った半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)も6%近く下落したうえ、電子商取引大手のイーベイ(EBAY)も決算で見通しが市場予想を下回ったことで4%を超える下げとなっています。
なお、取引終了後に決算を発表した電気自動車のテスラ(TSLA)は市場予想を上回る販売見通しが好感され時間外で大きく上げています。同じく取引終了後に決算を発表したマイクロソフト(MSFT)も市場予想を上回る増収増益となったことから時間外で買われていますが、フェイスブック(FB)は取引終了後に発表した決算でコストの増加と利用者数の伸び鈍化が嫌気され時間外で大きく下げています。
5.為替・金利等
長期金利はパウエルFRB議長がFOMC後の会見で新型肺炎に関して深刻に受け止めており状況を注視していると述べたことなどでややハト派寄りと受け止められ0.07%低い1.58%となりました。ドル円は109円近辺で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
米国市場が高安まちまちとなり新たな買い材料に乏しいことから本日の日本市場は売り優勢でのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が75日移動平均線(昨日時点で23,269円)などを支えに下げ渋るかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)