年初の中東情勢による急落は早々に持ち直した

中国・武漢を中心とした新型コロナウイルスによる肺炎(以下、新型肺炎)の拡大が続いています。中国政府は1月27日、中国本土での死者は計80人、感染者は2,744人に達したと発表。また、日本国内においては4人目の感染が確認されました。

世界的に新型肺炎への警戒が強まり、1月27日の東京株式市場はスタートから全面安。休日中に発信された関連ニュースは悪化を示唆するものだったため、いちばん最初に織り込む日本市場への大量の売りは予想できたと思います。米国株以上に日経平均は下落する結果となりました。

比較的新鮮味のある材料である新型肺炎の拡大懸念一色となり、先が見えない不安感に覆われ、過剰にボラティリティを高める要因になったのかもしれません。米中の貿易問題が熱を帯びている時だったら、少し反応は異なっていたと思います。

新型肺炎の拡大による経済への影響など推測できるわけでもなく、頼るところは目先の株価の動き方。思い出すのは、年初の中東を巡る地政学リスクの高まりを嫌気し、日経平均が大発会で急落したこと。ですが、当時は早々に持ち直す展開となりました。

今回も大きく下げましたが、昨年11月21日安値(22,726円)、1月8日安値(22,951円)から反発した動き同様、23,000円前後をサポートに比較的早く反発に転じられるかが重要な動きとなります。もたつくと、下振れ警戒が強くなってきます。

【図表】日経平均(日足)
出所:マネックス証券作成

23,000円以下の水準は下値のサポート帯に

米ドル/円は108円台後半まで円高が進みましたが、今年に入ってからは109円台後半の上値の壁をいったん円安方向に突破しました。その現象を忘れてはいけないと思います。

このコラムで昨年12月に書いた「来年のヒントとなりえるサイン?」では、年足の米ドル/円の面白い見方を紹介しました。109円台後半の上値の壁を突破したこと自体、年足の好転を示唆しているような気がします。

だからといって、結論付けるのは少し乱暴かもしれませんが、目先はドルの底堅さが心理的な支えになる。この騒動が落ち着くのは意外と早いような気がします。

1月27日の下げによって、24,000円超えは目先的には難しくなったかもしれませんが、下値を簡単に叩けるような感じにもならないと思います。

2018年以降の東証1部の価格帯別累積売買代金を500円刻みでみると、22,500円~23,000円で170兆円程度、22,000円~22,500円で190兆円程度、21,500円~22,000円の水準では240兆円程度の売買代金をこなしているため、23,000円以下の水準は下値のサポート帯になることが考えられるからです。