東京株式市場は米国株の連休明けの動向、ダボス会議でのトランプ米大統領の演説などを前に様子見姿勢が強い展開となっています。

昨年2019年の同じ週を振り返ると、日銀会合後も手詰まり感が強く、週後半にアメリカの半導体関連の決算をきっかけにハイテク株が買われていました。今週も後半に国内の日本電産やディスコ、アメリカのテキサスインスツルメンツやインテルなどの決算がありますので、そういったハイテク株の動向が週間の強弱のポイントになりそうです。

昨年4月高値を上回る中位PBR業種に上値余地が

さて、当面の物色のポイントを考えてみました。例えば、東証33業種をPBR(株価純資産倍率)の高位・中位・低位で各11業種に分けた昨年からの合成チャート(図表1)をみると、高位PBR業種のパフォーマンスが相対的によいことがわかります。

【図表1】高位・中位・低位PBR業種の推移
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチ作成

ただ、日経平均の2018年12月急落後からの反発がいったん終わり、調整した2019年3月は低位PBR業種や中位PBR業種が高位PBR業種にキャッチアップした経緯があります。

仮に今後、アメリカでハイテク株が調整した場合、電機や精密が入る高位PBR業種の下落によって、日経平均の調整につながる可能性はありますが、昨年と同様、出遅れ感のある低位PBR業種や中位PBR業種の上昇の可能性はあるとみています。

ただ、低位PBR業種に関しては値ごろ感がありますが、直近の安値を下回っており、チャート面の判断では弱い。どちらかというと、昨年4月高値を上回っている中位PBR業種の方が上値余地はあると思います。

中位PBR業種が業種別上昇率上位を占めている

それでは、中位PBR業種には具体的に何があるか。PBRの高い順に並べると、(1)化学、(2)その他製品、(3)空運、(4)電気・ガス、(5)建設、(6)機械、(7)卸売、(8)水産・農林、(9)倉庫・運輸関連、(10)繊維製品、(11)非鉄金属となります。

それぞれ単体でみると株価の勢いやPBRの水準に差はありますが、この中でも昨年の3月~4月に付けた高値を上回っている、建設、化学、機械、卸売(図表2)などは相対的に割安ではなく、割高でもない、売られ過ぎではなく、買われ過ぎでもない位置付けとして、しばらくは注目できるとみています。

【図表2】中位PBR業種の中で3月~4月の高値を上回っている業種 
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチ作成

つまり、割高や買われ過ぎは高値掴みが怖い、逆に、割安や売られ過ぎは悪材料で下げているから拾えない。だったら、消去法的に考えられるのが、中位どころということになります。

実際、1月20日の東京株式市場で業種別の上昇率上位をみると、1位は建設、2位は電気・ガス、3位は機械、4位は非鉄金属でした。