株安広がりにくく、株高広がりやすい!?

米第4四半期の経済成長率予想の急改善が広がっている。経験的には、これは株安、リスクオフを限定的にとどめ、株高、リスクオンを後押しする可能性のあるものだ。

定評の高いGDP予測モデルであるアトランタ連銀のGDPナウは12月17日、第4四半期成長率予想を2.3%へ上方修正した。12月20日には2.1%へ小幅に下方修正したものの、2%以上の成長率予想を維持した。

GDPナウは、11月中旬頃までは0.4%といった具合に、ほとんど「ゼロ成長」に近いところまで米景気が急減速するとの見方だったことを考えると、この1ヶ月余りで景気予想が急激に改善したといえそうだ。

もう1つのGDP予測モデルも、やはり第4四半期の成長率予想を上方修正している。NY連銀のGDPナウキャストも、11月中旬には上述のGDPナウ同様に0.4%程度の予想だったが、20日には1.3%まで上方修正してきた。

米四半期成長率は、トランプ政権がスタートしてから間もなく、2017年第2四半期から2%を上回る状況が続いてきた。それが今年第4四半期でついに途切れ、米四半期成長率は一転して2%を大きく割り込むとの見方となっていた。

経験的には、2015年8月チャイナ・ショック、2016年6月Brexit(英国のEU離脱)ショックなど代表的なリスクオフは、米四半期成長率が2%を下回る状況が続く中で起こったものだった。その意味では、トランプ政権が続く中で初めて、米四半期成長率が2%を大きく下回り、本格的なリスクオフが起こりかねない状況となっていた可能性があった。

そんな米景気予想が、この1ヶ月余りで急激に変わってきたわけだ。株価と米景気の関係からすると、一転して株安は広がりにくく、むしろ景気回復の継続により株高が広がりやすい構図に大きく変化している可能性がありそうだ。