2020年、新たな年を迎えようとしています。2019年は米中貿易摩擦をはじめ国際政治の不透明感の高まりにより、金融市場の先行き懸念が数多く取りざたされました。一方、米国がそれまでの利上げ局面から利下げに転じたことなどから、金融市場は概ね堅調に推移した1年と総括することができるでしょう。

今回は新年を迎えるにあたって皆様の投資戦略の一助となるよう、改めて押さえておきたい新興国投資の鉄則を3つのポイントにまとめてご紹介します。新興国だけでなく投資一般の基本中の基本ともいえるものでもありますが、「言うは易く行うは難し」とはよく言われること。ぜひご参考のうえ実践していただければ幸いです。

鉄則1.自分自身のリスク許容度に見合った投資金額を設定すること

まだリスク・テイクをしていない時点、市場が静かな時や上昇相場で好調な時、大半の方がご自身のリスク許容度を過大に評価してしまいがちです。一方、いざリスク・テイクした時点、相場急落などで不調な時は、逆に大半の方がご自身のリスク許容度を過小に評価してしまいがちになります。

特に新興国投資は、成長国への投資であるために期待リターンが高くなりやすい反面、期待リターンに対する振れ幅としてのリスクも高くなる傾向にあります。

この点を踏まえて、投資は「実行する時はワクワク、いざリスク・テイクするとドキドキ」するものとあらかじめ心得た上で、どのような市場変化が起こっても(急落だけでなく急騰しても)自分自身が手に汗握ることなく冷静でいられる金額の範囲内で投資を行う必要があります

鉄則2.まずはコア・ポートフォリオを、新興国投資は余裕資金中の余裕資金で

前述しましたように、新興国投資は、先進国投資と比較して相対的に期待リターンが高い一方で、期待リターンに対する振れ幅が大きい、つまりリスクが高くなる傾向にあります。

ご自身のポートフォリオを構築するにあたって、まずはコア資産として先進国の株式や債券等を中心に据え、その上でコア資産のごく一部あるいはサテライト資産として新興国の株式や債券等を組み入れるようにするのが適切といえるでしょう。

鉄則3.分散投資を徹底すること

特定の資産や銘柄に集中投資するのは避けましょう。「卵は1つのカゴに盛るな」とは古くから言われる格言で、卵(=資金)を1つのカゴ(=資産・銘柄)に入れておいてしまうとカゴを落としてしまった場合にすべての卵が割れてしまう(=大きな損失を被る)ことになってしまいかねません。

これを避けるためには、複数の資産や銘柄への分散投資を徹底することが重要です。ただし、とくに記憶に新しいリーマン・ショック時のように、大半の資産が大きく下落してしまうなどということもあり得ます。

これを極力避けるために、各資産、各銘柄の過去の推移を踏まえて、できる限り相関がない(値動きの連動性がない)あるいはマイナスの相関となる(値動きが逆方向に連動する)資産や銘柄の組み合わせを選択するといった取捨選別も必要です。

今回が当社の今年最後の寄稿になります。皆様が2020年も充実した投資生活を送られるようお祈り申し上げます。来年もまたよろしくお願いいたします。