このレポートのまとめ
- FOMCでは政策金利に変更なし
- 「不確実性」という文言が声明文から削除された
- 1995年のときより長い期間、現在の政策金利をそのままに据え置くかも
- 2021年に1回の利上げを経済予想サマリーは示唆
- 株式にポジティブな内容
政策金利に変更はなし
12月10日(火)・11日(水)の2日間に渡って開催されていた、今年最後のFOMC(米連邦公開市場委員会)が終了しました。
政策金利に変更はなく、1.75%でした。また声明文の中から「先行きに関する不確実性が残っている」という一文が削除されました。
つまり大きな変更はなかったということです。
記者会見の中でジェローム・パウエル議長は「現在の状況は1995年と似ている。ただ大きな相違点として今回はインフレ期待が低い。だから1995年のときよりもっと長い期間に渡って1.75%の政策金利が維持されるかもしれない」と語りました。
これは今までより一歩踏み込んだ発言であり、株式にとって好材料です。
インフレが低い理由
パウエル議長はインフレが低い理由として(1)経営資源の稼働状況と失業率との間の関係性がどんどん薄れていること、(2)経済の弛みとインフレの関係もどんどん薄れていること、の2点を挙げています。
賃金自体は少し上がっていますが物価全体の上昇に比べるとそのペースは緩慢です。
日頃からFRB(米連邦準備制度理事会)メンバーは「賃金インフレは癖になる」と考えており、過度の賃金インフレが発生した場合、機動的に対処することが知られています。
しかし今は遅々として賃金の上昇がついて来てないわけですから、そのようなリスクは低いのです。
不確実性の評価
今回、声明文の中から「先行きに関する不確実性が残っている」という表現が消えたことからもわかる通り、米中貿易戦争が実体経済に与える悪影響は峠を越したとFRBは考えています。
第1ラウンド合意がいつ実現する?という問題は重要性を失いつつあります。それに伴い株式市場に影響を与える材料としてのインパクトも後退したのです。
2020年は利上げなし
経済予想サマリーでは、2020年のフェデラルファンズ・レートの動きはほとんどないことが示唆されました。
そして、2021年になって初めて1回前後の利上げが行われると考えるメンバーが多いことが判明しました。
まとめ
今回のFOMCでは、FRBが長期に渡り現行の1.75%の政策金利を維持することが明快に打ち出されました。
現在の政策金利の水準は経済の現状に照らして緩和的です。
そのことは、株式市場にとって支援的なスタンスが打ち出されていると理解して良いと思います。