決算発表の続いている米国では半導体関連企業の好決算がみられます。たとえば、 半導体チップ製造の世界4位(インテル、サムスン、東芝の順)、テキサス・インストゥルメンツ社が44%増益でアナリスト予想を上回り、その前に発表されたインテルも予想を超える増収増益でした。

好調な背景は2つあります。1つはアップルのiPad、iPhone、その他各社が攻勢をかけているスマートフォンといったハイテク電化製品のブームがあり、いずれも半導体部品が多数組み込まれていることです。もう1つの要因は、FRBの量的緩和第2弾とともに打ち出された、オバマ減税法案にあるとみています。この 72 兆円にも上る減税法案のなかで2011年度の、設備投資に対する一括償却を容認する、という重要な法案がありました。

元来、米国企業の多くは日本と同様に設備投資する機会が薄れ、社内には行き場を失った潤沢な現金が余剰として積み上がってきました。そこへこの特別な法案によって一気に余剰資金が設備投資へ向かう事になるのです。前述の半導体最大手のインテルを始め、設備投資を大きく増す企業が最近話題となってきています。 これらはとてつもなく米国経済を底支えすることでしょう。経済は完全には立ち直っていなのに米国の株価が好調な要因の1つも、ここにあるのだと思います。 ■大手半導体チップメーカーの設備投資額 http://mailsrc.gladv.co.jp/ggr/vsea_1.png

さて、半導体市場は独特の好不況のサイクルがあるものですが、2009年の低迷期を完全に脱し、昨年は31.5%増、そして現在も大変良い状況です。前回半導体チップ市場の拡大は2002年~2008年前半まで続きました。そして、上記のURLにあるように、世界の主な半導体メーカーは2010年から2011年にかけて生産増加にむけ、設備投資を大幅に増加させていく見通しです。サムスンは半導体以外の事業も含めてなので、全てが当てはまる訳ではありませんが、あとの2社は専業メーカーです。

香港市場にも多くの半導体関連企業が上場しています。先日、先思行(00595)というサムソンやフェアチャイルドの半導体の代理販売を行っている企業に訪問したところ、やはり業績は好調な様子でした。ちなみに、同社はサムソンに3Dテレビの3Dグラスを提供しているACCUPIX(韓国市場上場:56730)に投資をして19%の株式を持っていたり、高光度のLEDを製造するwave square(未上場)といった企業に投資をしていたりと、半導体以外にもなかなか面白味のある企業でした。その他にも香港市場には、ASM太平洋(00522)、華潤微電子(00597)、中芯国際(00981)、 上海先進半導体(03355)といった半導体関連銘柄があります。