TOPIXは高値警戒感の強い状況に

米中協議進展への期待が相場を支え、日経平均は高値圏でしっかりの展開が続いています。米国企業の市場予想を上回る決算が好感されていることや、米10年債利回りが9月中旬以来となる1.80%台と持ち直してきており、金融緩和が景気の支えになるとの見方などが投資家心理の改善要因となっています。

スケジュール的には、第13回米中通商協議(10月10日~10月11日)での「部分合意」は、11月16日~11月17日のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に併せて開催される米中首脳会談で合意文書の署名が計画されているようです。

本格化している国内企業の決算発表では、弱い決算見通しで個別株ベースでは変動幅が大きくなるものもあります。ただ、全体的には織り込み済み感が漂っており、相場全体への売り材料にはつながっておらず、11月前半の決算発表期間中(APECの終了あたり?)は堅調な相場展開が続くとみられます。

一方、東証1部全体を示すTOPIXは200日移動平均線からの上方かい離が先週末現在で約5.2%程度まで拡大し、昨年10月高値から株価が急落した際のかい離率3.4%を上回る勢いで上昇しています(図表1)。

【図表1】TOPIXの200日移動平均線からのかい離率
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチ作成

当時と今とでは外部環境を含め状況は違うため、もう少しTOPIXは上昇すると思いますが、高値警戒感の強い状況といえます。

業種別指数で次の相場展開を判断すると

では、調整したあとの次の相場展開は?業種別指数で判断してみましょう。

業種別指数それぞれの200日移動平均線とのかい離率を見ると、TOPIX以上に大きく上方かい離している業種(図表2)に対して、TOPIXよりも上方かい離が小さい、いわゆる出遅れ業種(図表3)に分けることができます。

【図表2】TOPIX以上に大きく上方かい離している業種
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチ作成
【図表3】TOPIXよりも上方かい離が小さい、出遅れ業種
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチ作成

出遅れ業種の保険業や銀行業、卸売業などに注目

今後、全体の調整を通じて物色対象が変わるとした場合、出遅れ業種が注目されるとみています。

特に注目は、出遅れ業種の中でも、PBRが低いバリュー業種の保険業や銀行業、卸売業などです(図表4)。米長期金利が再び上昇してきましたし、週末の米雇用統計やISM製造業景況感指数が強ければ、金利上昇を通じて面白くなってくるのではないでしょうか。

【図表4】TOPIXよりも上方かい離が小さく、PBRが1倍以下の業種
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチ作成