金融商品だけでは、老後のお金の不安は解決できない

前回は老後のお金の不安は資産を積み上げるだけでは解消しないことを説明しました。

ストックがたくさんあっても、使って減っていくのを見ると、誰でも不安になるのは当然のことです。

だから、ストックでいくら必要かを考えるよりも、フローで毎月いくら入ってくるかを考えることの方が重要なのです。例えば、年金だけでは生活が厳しくても、年金プラス20万円あれば、老後の経済的な余裕は随分変わってくるのではないでしょうか。

では、そんな定期的にお金が入ってくるインカム収入を得るためにはどうしたら良いのでしょうか?

年金プラスアルファのキャッシュフローが老後の不安を解消する

かつては、株式で値上がり益を狙い、債券でインカム収入を狙う。この2つを組み合わせるのが伝統的な資産運用の方法でした。

しかし、リーマンショック以降、先進国では金融緩和により低金利が続き、債券だけでは十分なインカム収入を得ることが難しくなりました。

例えば、日本の個人向け国債の金利はわずか0.05%です。1,000万円を投資しても、税引き前で年間5,000円しか金利がつきません。毎月にするとわずか400円足らず。これでは、お金の不安は消えません。

私が提案しているのは、金融商品以外に投資対象を広げていくことです。代表的な資産は不動産です。

例えば、国内の不動産であれば、都心の物件でも賃貸利回りが4%から5%あります。これは個人向け国債の80倍から100倍です。同じ1,000万円あれば、年間40万円から50万円の家賃収入が得られるのです。

幅広い資産運用の情報収集が必要

もちろん、債券のような安定した金融商品とはリスクが異なります。不動産には、空室リスク、災害リスク、家賃下落リスクなど、独自のリスクがあります。また、税金の取り扱いも異なります。だから、十分な情報収集と、投資判断が必要です。

また実物不動産への投資には、まとまった資金が必要ですから、投資できる人は限られています。

そのような人には、不動産投資信託(REIT)、不動産小口化商品のような少額から投資ができ、定期的なインカムが狙える投資商品もあります。これらは、金融商品に位置付けられますが、投資対象は不動産ですから、実物不動産と同じように独自のリスクに関してしっかりと理解してから投資すべきでしょう。

いずれにしても、これからの資産運用には、金融商品とそれ以外の投資商品の組み合わせが重要になっていくと思っています。

年金基金のようなプロの機関投資家も、ここ数年株式や債券といった伝統的な資産だけではなく、不動産やインフラ投資などに投資対象を広げ、安定したリターンを目指しています。

投資対象が広がっていくということは、今まで以上に情報収集能力によって、資産の格差が広がることを意味します。マネクリのような情報サイトを活用し、セミナーや書籍で情報をアップデートする。資産運用も固定観念にとらわれることなく、学び続けることが必須です。

マネーリテラシーの有無によって、老後の不安が解消できる人と、いつまでも不安のまま暮らす人に分かれていく。これだけは確かな事実です。