老後資金がいくら必要かは、個人差が大きく一般化できない

少し前にいわゆる「2,000万円問題」が話題になりました。老後資金として年金以外に2,000万円必要だというレポートを金融庁が作成し、麻生大臣(財務・金融担当)が突き返したという事件です。

老後資金がいくら要るかは個人差があります。都会で暮らすか田舎で暮らすか、家族がいるかいないか…などなど、状況によって答えは1つではありません。

金融庁の2,000万円の試算は、高齢夫婦無職世帯の平均を見ると、毎月5万円程度を保有資産から取り崩していることを計算根拠にしています。この不足額約5万円が毎月発生する場合に、20年で約1,300万円、30年で約2,000万円の取り崩しが必要となるとしたものです。

しかし、月5万円ではなく月10万円足りなければ、必要な資産は2倍になります。また、想定より寿命が短ければ2,000万円は必要ではありません。でも逆に長生きリスクが発生すれば、2,000万円では足りないこともあり得ます。

この試算が誤解を招いた原因は、老後のライフスタイルが多様化している上に、老後期間が何年なのかも個人差があってそもそもわからないのに、平均余命から30年と一律に仮定して計算していることです。

資産をいくら積み上げても、老後のお金の不安は解消しない

実は私自身もこの報告書と同じ発想で、10年前の2009年に『60歳までに1億円つくる術』(幻冬舎新書)という本を書きました。リタイアするまでに必要なストックのお金を手に入れる具体的な方法を指南したものです。

しかし、この本を書いてしばらくしてから、たとえ1億円あったとしても、老後のお金の不安は消えないことに気が付きました。

なぜなら、例え1億円保有していたとしても、100万円使ってしまえば、資産は9,900万円に減ってしまいます。保有しているストックが少しずつ減っていくのを見ながら老後を過ごすのは、真綿で首を絞められるような気分で、精神的に耐えられないからです。

つまり資産がいくらあっても、ストックだけではお金の不安は解消しないことがわかります。

ストックの発想からフローの発想への転換が必要

ではどうしたら、老後のお金の不安は解消するのでしょうか?

「60歳までに1億円」ではなく、「60歳から毎月20万円」を手に入れる方法を考えれば、老後のお金の不安は消えていく。これが、私の考えです。

ストックではなく、フローで考えることが重要なのです。