下半期も底堅い地合いが続きそう

年度後半の株式市場がスタートしました。9月の急騰で発射台は高いですが、新四半期入りにともなう長期資金流入期待や、日本株への資金回帰の期待値も高まりやすく、循環物色や出遅れ株物色を通じて底堅い地合いが続きそうです。

10月は海外投資家による資金流入が多い月としても知られており、国内勢の投資マインドの減退を抑制します。過去「証券投資の日(10月4日)」から翌年3月末までのTOPIXの騰落率はすこぶる好調です。

2009年以降では2015年、2018年以外はすべての期間でプラスでした。上昇率にはムラはありますが、日本株の方向性をみる上で1つのアノマリーが確立しています。

業種別と個別株の騰落を振り返る

さて、年度前半を終えたところで、この半年間、どんな業種が上昇して下落したか。また、個別株ベースではどうかを振り返ってみましょう。計算期間は、2019年3月29日終値~9月27日終値までとなります。

まず、業種別でみた場合、上昇率上位をみると、トップの「その他製品(+14.1%)」、「海運(+12.3%)」、「精密機器(+9.3%)」と続きます。何となく、特定銘柄の上昇の恩恵を受けた感じがしますが、今回は下落した業種に焦点を絞ります。

下落率上位は、「鉄鋼(-20.3%)」、「紙パルプ(-18.4%)」、「水産(-18.1%)」となります。もしかすると、年度後半の買い銘柄を考える上ではヒントになるかもしれません。リターン・リバーサルに便乗するやり方です。必ずといっていいほど、このタイミングで過去の騰落の逆を仕掛ける主体はいるはずだと、思います。

一方、個別株ではどうでしょうか。今回はTOPIX500に採用されている銘柄の中から順位をみると、上昇率上位は、トップの「アドバンテスト(+87.3%)」、「ウエルシアHD(+48.0%)」、「SCREEN(+47.5%)」と続きます。

下落率上位は、トップの「ヤマトHD(-41.4%)」、「ガンホー(-38.9%)」、「大日住薬(-33.9%)」となります。もっと下をみると、4位は「かんぽ生命(-31.1%)」、「バローHD(-30.7%)」、「ポーラオルHD(-30.5%)」、「JFEHD(-30.2%)」、「マルハニチロ(-30.0%)」と続きます。

業種別と個別株とで関連性があるところでは、「JFEHD」と「マルハニチロ」となりますので、まずは後半で注目できそうな銘柄候補になるでしょう。

海外投資家と国内投資家で「JFEHD」への投資評価が違う

そこで、最近「JFEHD」に関して面白いことに気づきました。9月の後半のことですが、ある国内系の大手証券会社では、投資判断「3(中立)」を継続しながらも目標株価は1,700円→1,300円と引き下げました。もう1社の国内系の大手証券会社は、投資判断を「Overweight」→「Neutral」、目標株価を2,590円→1,660円と引き下げました。

両社とも詳細な理由は異なっていますが、要は鋼板需給が緩和する一方、値上がりしている原料の鉄鉱石とのスプレッドの縮小懸念が大きな要因です。弱いという見方です。

一方、ある外資系証券では、投資評価を「中立」→「買い」と引き上げ、目標株価は1,650円を継続した、とのことです。来期の業績回復が見込まれ、PERでの割安感が強く、過去最低水準にあるPBRからも割安な株価が確認されています。

世界の鉄鋼業界に慎重なスタンスを有するとしながらも、日本の国内市場は価格が国際市場と比較して安定的であるとしています。強いという見方です。

さて、このタイミング、どっちの見方が株式市場で勝てるのでしょうか?これは海外投資家と国内投資家の性格的なものにも似ているような気がします。足元のことしか見えない、言えない国内系と、将来の改善を予想する、それを前提に割安さを投資家に訴える海外系。たとえ、後者の予測が外れていても、半期ベースの短期的なゲームには後者の方が勝てるのかもしれませんね。