英ポンド/円 (126.50〜134.80)9月5日〜9月11日まで

アナリシス:

皆さん、こんにちは! 英国のEU離脱を巡り、またもや英国内で混迷を極めています。

英下院は9月4日、合意なき離脱の阻止に向けた法案を賛成329票、反対300票で可決しました。10月19日までにEUとブレグジットの合意を取り付け、英議会がこれを承認するか、合意のないまま離脱することを承認しなければ、2020年1月31日までの離脱延期をEUに要請するよう首相に義務付ける内容です。

これに対し、ジョンソン首相は離脱延期を断固拒否し、解散総選挙を求める動議を提出していましたが、9月15日の総選挙は否決となりました。

可決された法案は、労働党をはじめとする野党各党が一致協力して策定に当たってきたもので、合意なき離脱に反対する与野党の議員が支持。ジョンソン首相は先に、同法案の成立阻止を狙い、早ければ9月9日にも議会を閉会することを決めていたため、法案は第1読会をスピード通過しました。

この後、第2読会も通過して、9月5日には上院での審議が開始される見通しとなっています。順調に進んでいけば、上院通過を経て、9月9日にも女王の勅許を得て法律として成立する可能性がでています。

ジョンソン首相はこの前日、同法案を支持する21人の造反議員に事実上の除籍処分とし、そのメンバーの中にはハモンド前財務相やゴーク前司法相など多くの閣僚経験者や党重鎮が含まれています。

この結果、下院では与党の議席数が過半数を大きく割り込んでいるので、ジョンソン首相にとっては厳しい立場となっています。

ジョンソン首相は首相就任後、一貫して合意の有無にかかわらず10月31日にEUを離脱する決意を示していて、自らが離脱延期を要請することはあり得ないとしています。

このため、議会を解散し10月15日に総選挙を実施する動議を提出しましたが、実現には至らない結果となりました。ただ、3ヶ月の離脱延期の法案が上院でも承認され、成立すれば、早期の総選挙実施に労働党のコービン党首は同意しています。

さて、問題はこれからどうなるかということになります。10月31日の合意なき離脱が延期されるとなったとしても、その後まだ合意なき離脱の道が残るのか、それとも離脱断念という選択肢も出てくるのか、方向性が現時点では全く分からない状況です。当面のこの状態が続くということになります。

合意なき離脱阻止に向けた法案成立が下院で可決されたことによってポンドは上昇していますので、今後の動向には注意が必要です。

それでは、月足チャートです。

【図表1】英ポンド/円(月足)
出所:筆者作成

月足トレンドレス下段、-2σ付近になります。このまま-2σに沿って下落を続けるかどうかの場面です。反対の見方をすれば、Wボトム場面となります。今回の離脱延期法案が成立となればひとまず移動平均線(MA)方向に上昇すると見ます。

続いて、週足チャートです。

【図表2】英ポンド/円(週足)
出所:筆者作成

ダウントレンド先週は陽線となり、戻り目形成場面になります。このまま米ドル/円も下落しないのであれば、一旦MAまでは上昇すると見ます。

最後に、日足チャートです。

【図表3】英ポンド/円(日足)
出所:筆者作成

ダウントレンド後の中段保ち合いですが、英国内のファンダメンタルズを考慮すれば一旦上昇する可能性が高いので、中段保ち合い上限を上抜けするのが第1シナリオとなります。

上昇するなら、134円前半まで想定できます。もし素直に下落するなら週足戻り目で売りタイミングと中段保ち合い上限でのショートも考えられ、こちらは第2シナリオとなります。

それでは、向こう1週間の重要指標です。

5日(木)
21:15 米・ADP雇用統計
23:00 米・ISM非製造業景況指数

6日(金)
18:00 EUR・GDP確定値
21:30 米・雇用統計
25:30 米・パウエルFRB議長発言

上記の分析から、エントリーポイントとしては以下のとおりです。

予想レンジ:126.50〜134.80               

メインストラテジー:

買いをするなら
・130.40円〜130.60円を上にブレイクしたら短期足の押し目でエントリー
・1時間足順張りミドル反発の押し目でエントリー(想定価格は130.60円)
・上記2つのタイミングが崩れた場合は、1時間足もしくは4時間足のレンジ下段-2σ付近からの逆張りエントリー

売りをするなら
・130.90円〜131.10円、週足-1σ反発+日足中段保ち合い上限からの順張りエントリー
・週足MA反発の順張りエントリー(想定価格は132.80円近辺)
・週足ミドル反発の順張りエントリー(想定価格は134.20円近辺)
上記2つは日足の中段保ち合い上限も組み合わせること