このレポートのまとめ
1.フェデラルファンズ・レートとは?
2.先物から計算できる利下げ確率
3.9月、10月、来年1月の利下げが織り込まれている
4.小刻みな、整然とした利下げは株式市場にプラス
5.突飛な利下げは好ましくない
フェデラルファンズ・レート
米国の政策金利はフェデラルファンズ・レートです。それはしばしばFFレートと略されます。
前回、すなわち7月30日の連邦公開市場委員会(FOMC)で今年初めて0.25%の利下げが発表され、現在のFFレートは2.25%となっています。
フェデラルファンズには先物がある
フェデラルファンズには先物が存在します。それはデリバティブ取引所CMEで取引されています。
CMEで取引されているFFレート先物の取引価格から、市場参加者がどのくらいの確率で利下げが起きるか?を逆算する方法があります。
その計算方法は今回のレポートでは省略しますが、計算結果は毎日「CME FedWatch」というサイトに掲載されます。
市場関係者は利下げに関しどのようなシナリオを織り込んでいる?
さて、市場関係者は利下げに関し、どのようなシナリオを織り込んでいるのでしょうか?
結論を先に言えば、次のFOMCが開催される9月18日に0.25%の利下げ、さらに10月30日に0.25%の利下げが織り込まれています。そしてさらに来年の1月29日にもう0.25%の利下げがあることを先物価格は反映しています。つまりその時点でFFレートは1.5%になるという計算です。
それを具体的に見ていきましょう。まず9月18日には下のチャートが示すように91.2%の確率で0.25%FFレートが引き下げられ、2.00%になるという強いコンセンサスが形成されています。
その次のミーティングは10月30日です。そこでは58.5%の確率でFFレートが0.25%引き下げられ、1.75%になることが予想されています。58.5%というのは比較的強いコンセンサスと言う事ができるでしょう。
その次のミーティングは12月11日です。そこでは47.2%の確率でFFレートが1.75%にとどまることが予想されています。言い換えればこのミーティングでは利下げは無いということです。
2020年の最初のFOMCは1月29日です。そこでは0.25%の利下げが予想されていますが、確率的には38.7%に過ぎず、弱いコンセンサスとなっています。
その次のFOMCは3月18日です。ここでも最多確率はFFレートで1.5%の水準のままです。つまり利下げはないということです。
もうひとつ上のチャートを見て言えることは1.50%を中心に確率は更なる利下げ、あるいは逆に利上げされる確率ともにほぼ左右対称にバランスが取れており、この辺りが今回の利下げサイクルの最終到達点ということを感じさせるチャートになっています。
まとめ
まとめると今後3回に渡り毎回0.25%刻みで半年かけて利下げが行われることが織り込まれているわけです。
これは利下げのペースとしては緩やかであり、このような整然とした小刻みな利下げは株式市場にとってプラスです。
このような整然とした小刻みな利下げが行われたのは1995年で、政策金利は今回同様0.25%刻みで合計3回利下げされました。
景気の暗転などの理由からこの小刻みなペースが崩れ、一度に0.50%とか1.00%利下げするようなケースでは、それは市場参加者に「ハチャメチャだ」と受け止められるリスクがあります。その場合、投資家は怖気づいてリスク回避に走るでしょう。