短期間で大きく資産を増やす方法は大きな損失につながることも
ここ何回か、老後2,000万円問題に関連して、長期的な資産形成をするための投資・運用について書いてきました。その投資方法は投資信託の定額購入といったコツコツ型投資で、長期の投資期間により効果が出てくるものです。
もっと短期間で大きく資産を増やす方法はないかと言えば、もちろん、ないわけではありません。ただ、それは大きなリスクを取る必要があり、リスクを取ったからといって成功するとは限らず、大きな損失につながることもあります。「必要な資産を形成する」という目的にはあまり向きません。
ハイリスクな投資とは、基本的には相場変動の中で、短期売買により利ザヤを稼ぐ投資、レバレッジをかけて手持ち資金より大きな金額で取引するような投資です。取引手法にもよりますが、主に以下の商品・サービスが該当します。
・株式投資:長期投資だけでなく短期売買の対象にも。
・FX投資:為替の売買によって利ザヤを稼ぐ。米ドル/円やユーロ/円、ユーロ/米ドルといったメジャー通貨からマイナー通貨まで様々。レバレッジの取り方によってもリスク度合いが大きく変わる。
・信用取引:金融機関から資金を借り入れることで手持ち資金より大きな金額で株式投資ができ、空売りも可能。
・先物・オプション:デリバティブの一種。少ない資金で大きな金額の取引が可能。現物取引の値下がりリスクのヘッジとして利用することも可能。
・仮想通貨投資:値動きが激しく、短期投資家に人気も。
株式投資の短期売買や、メジャー通貨でレバレッジを低く設定してのFX投資はハードルが低めかもしれませんね。その他の投資は、その投資対象・サービスの仕組みやリスクなどについて、しっかり理解してから挑戦しましょう。
ハイリスク投資に大事な5つの注意点
ハイリスク投資をするにあたって、いくつかの注意点があります。
1.安心できる金融機関を選ぶ
FX投資も、いまでこそキチンとした金融機関がリスクを管理・制限し、警鐘を鳴らすようになりましたが、普及し始めた当初は雨後の竹の子のごとく怪しげな事業者が乱立している状況でした。中には、異常に高いレバレッジをかけられるようにしていた事業者もあり、全財産を失うどころか借金を背負うことになってしまった投資家もたくさんいたのです。法整備ができている商品かどうかも大切なポイントです。
2. 商品をしっかり理解する
ハイリスク商品は手持ち資金を全て失う可能性もあり、商品をしっかり理解することがまずは必須です。
3. 相場に関するニュースの意味を理解する
相場を相手にする場合、変動理由、基本的な経済原理などを理解し、景気動向などのニュースの持つ意味を理解する必要があります。
4.性格によって向き不向きがある
向く、向かない、を決定づける上で性格は大いに関係します。相場が動くたびにひやひやし、自身で考えずに追いかけてばかりの人は負けやすく、気持ちの転換がなかなかできない人はストレスが溜まることになります。
5.自分で決めたルールに従う
自分でルールを決め、それに従うことが大切です。利食いも損切りもぐずぐずして行えないと失敗します。様々な注文方法を上手に駆使することをお勧めします。
ハイリスク投資は、十分な準備のもと取り組むように心がけましょう。短期間でお金を稼ぎだすチャンスがあり、投資全般への理解を深めるきっかけにもなる一方で、投資資金の全てまたはそれ以上の損失を負うこともあります。
そのため、ハイリスク投資は必ず余裕資金のみで行うこととし、たとえ損失を抱えた場合でも生活に影響が出ない範囲での投資を心がけましょう。