◆以前に、ツイッターで炎上したことがある(詳しい経緯はこちら:ストラテジー・レポート「相場を予想するということ」)。なんでそんなことを思い出したかというと、例の「年金2000万円問題」である。金融庁の報告書は極めて真っ当なことを書いているのだけれど、その伝え方が「上から目線」だと叩かれた。僕のケースも「上から目線」が炎上の原因だった。まさに「伝え方が9割」である。
◆この騒動が持ち上がってからというもの、僕の周囲でもやたら盛り上がりを見せている。テレビのワイドショーに呼ばれたとか、昔書いた資産運用本の売り上げが急増したとか、年金問題さまさまである。まさに炎上商法、ならぬ便乗商法だ。しかし、経済的損得を抜きにして、誰が一番「炎上」の恩恵にあずかれたかと言えば、当の金融庁に他ならない。なぜなら「結果的に」伝えたいメッセージを大々的に世間にアピールできたのだから。初めから炎上することを狙ってた?とみるのは穿ち過ぎか。
◆この騒ぎによって多くの議論が巻き起こったが、実際的な結論は、iDecoやNISAのより一層の普及を促すものである。ただ、問題はその使い方にある。確定拠出年金(DC)の資産構成は、企業型DCでは、預貯金や保険商品などの元本が保証される商品が5割超を占め、個人型DC(イデコ)に至っては、元本確保型商品の割合は6割だ。これでは非課税メリットや複利効果を活かせず長期的な資産形成に結びつかない。効果的な資産配分について、ここはもう一度、「炎上商法」でアピールしてみたらどうだろう。
◆僕のツイッターの炎上騒ぎはネットでも拡散され、当時小学校の高学年になってネットをブラウジングし始めた娘も目にすることになった。「パパ、もう炎上しないで」と言われた時には、幼い娘にショックを与えてしまったかと心が痛んだが、「炎上するくらいどうってことない。ホリエモンも言ってるじゃないか、『炎上されるものになれ』って」と強がりを言った。すると娘いわく、「パパ、『炎上されるもの』って、文法的におかしくない?」。