このレポートのまとめ

  1. 米国株式市場は過去最高値圏にある
  2. 市場が上に行く確率と下に行く確率は五分五分だ
  3. FRBはマーケットに支援的なスタンスを打ち出している
  4. 次のFOMCでは利下げはほぼ確実
  5. その際、利下げ幅がどうなるかに注目すること

過去最高値圏の米国株式市場

米国株式市場は過去最高値の水準にあります。S&P 500指数は6月21日に過去最高値を更新しました。そしていまは高値圏で地固め中です。

出所:ヤフー・ファイナンス

普通、マーケットが過去最高値を更新すると売り物が少なくなり、上値を追いやすくなります。これはほとんどの市場参加者が儲かっているので急いで売る必要がなくなるからです。

したがって過去最高値を更新し、株価が一段高する素振りを見せると「ワッ!」と新しい買いが殺到します。そのようにして株価が上伸した後、一旦、指数はそれまでの上値抵抗線(=今回の場合は2,950)まで下押し、そこでその水準を死守できるのかを試すことが多いです。

言い換えれば、「それまでの上値抵抗線は、一度上抜けると、今度は下値支持線に変わる」のです。

そのようにして新しい下値支持線がしっかりとサポートを提供したことを確認すると、株価はいよいよ上へ、上へと高値を追ってゆく展開に入るというわけです。

しかし現在は、そもそも6月21日につけた瞬間最高値が「ホンモノ」だったのかどうか? が試されている段階であり、強気になるのは未だ早いです。

事実、この水準は過去に3回トライして、その度ごとに力なく反落した水準であり、今回もこれまで同様、がっかりさせられるリスクが大きいです。

言い直せば、現在のニューヨーク市場は「上に行く確率が50%、下に行く確率が50%」という感じで、どちらに転んでもおかしくない、微妙なところへ差し掛かっています。

FRBは支援的

こと金融政策に関する限り、米国株式にとって支援的な状態になっていると言えます。

それと言うのも6月19日の連邦公開市場委員会(FOMC)でジェローム・パウエル議長が「予防は治療に勝る」という表現を使い、次回の7月31日のFOMCでの利下げを強く示唆したからです。

米国の政策金利であるフェデラル・ファンズ・レート(略してFFレートと呼ばれます)は2.5%です。これは過去に連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに転じた水準(FFレートで5.25%から6.5%)よりずっと低空飛行です。

低い地点から利下げがスタートするので、FRBは最大で2.5%しか下げ幅がありません。そこでこの限られた「弾」をどう有効に撃ってゆくか?という方法論がいろいろと議論されています。

6月19日のFOMC記者会見でのパウエル議長の答弁を見る限り「機先を制して早目に動く!」というのが最も安全なコースだと考えているように見受けられます。

7月31日のFOMCで利下げがあることはほぼ確実ですが、その利下げ幅は注目に値します。一部の市場参加者は0.25%刻みではなく、一気に0.50%利下げするのでは?という意見を持っています。

しかし余り下げ幅が大きい場合、「そんなに景気は悪いのか?」と逆に投資家の不安を煽ることになりかねません。

過去の経験則では下げ幅が0.25%の場合は経済がソフトランディングするのは早かったですが、0.50%か、それ以上のザックリした引き下げが必要となったケース(リーマンショック直前の2007年、ドットコムバブルが弾けた2000年)では景気は大きく後退しました。

そしてそのようなケースで「利下げは買いだ!」という安易な気持ちで買い出動すると大損しました。

言い直します。7月31日のFOMCでは利下げ幅に注目してください。利下げ幅が0.25%なら整然とした利下げなので市場は好感すると思います。しかし利下げ幅が0.50%以上であれば「FRBが後手に回っている!」「なんとなくハチャメチャ感がある…」という印象を与え、投資家は動揺するでしょう。