上海総合指数が続落せず小反発となった3つの理由

激化する米中の対立の中、先週の中国株は香港ハンセン指数は続落となりましたが、上海総合指数は小反発となりました。

上海総合指数が続落とならず、小反発となった理由は3つあります。1つはMSCI新興国株指数の中国A株組み入れ比率が5%から10%に引きあげられることから、資金流入期待が膨らんだこと。もう1つは相次ぐ中国政府の景気刺激策の発表です。自動車に関する販売促進策の導入が推進されている他、中国財政省が保険会社への優遇税制を発表しました。3つめはいわゆる国家隊と呼ばれる政府系機関投資家のグループが買い支えを行っていると見られる点です。

これらの要因によって米中対立が激化する中でも上海総合指数は100日移動平均線を支持線として、2,900ポイント前後で日柄調整が続いています。米中対立が市場の懸念であるのに上海総合指数は下がらず、むしろ日本株の方が大きく下落している点は印象的です。

【図表1】上海総合
出所:マネックス証券作成

これは全て政府の財政政策の結果と思います。中国政府は米国との覇権争いに負けない様にするために、前述のような減税や消費刺激策などの財政投資拡大政策を次々と打ち出しています。しかしその一方で、日本は消費税増税を10月に予定するなど、緊縮財政の方向に動いており、これが株価に大きく影響しているものと思われます。

経済指標の悪化と中国政府の方針

もっとも、足元の中国の経済指標は悪い指標が続いています。まず、5月の中国国家製造業景況感指数は49.4となり、市場平均予想の49.9を下回っています。また、4月の中国工業企業利益総額(前年比)は3.7%の減少となり、これで1~4月も3.4%の減少となっています。

さらに、中国国営の通信社である新華社は、米国の輸送会社フェデックスが中国の法律と規制に違反し荷物の宛先を間違って顧客に損害を与えたとして、中国当局が調査に乗り出したとしています。このような米中の対立は、企業の投資計画を狂わせ、景気の悪化につながります。

その分、中国も景気が低迷しないように前述のような財政投資拡大政策や、金融緩和を行っているわけですが、消費者物価指数が上昇しないように、どこまで対処できるのかに注目というところです。

消費者物価指数が上昇してしまうとインフレを抑えるために金融引き締めを行わざるを得ず、それはもちろん景気の悪化につながってしまいます。いまのところまだ心配な水準ではありませんが、米中共にどのように消費者物価指数が推移するのかが大きな焦点です。

G20で米中首脳会談?交渉再開の糸口となるか

そして、中国政府はもう1つ新たな動きをみせています。米中貿易協議に関する白書を発表し、協議の中断については米国に全責任があるとして、今後のいかなる議論も誠実さや平等をもとに進めることが必要だと強調しました。

そしてその一方で、解決策を見つけるために進んで協力的なアプローチを取りたいとしており、前向きな姿勢も見せています。

さらに、中国政府は下記のように従来から主張している条件を再度提示してきました。

・交渉再開には追加関税を全部撤廃すること
・貿易赤字縮小のために中国に米国製品の購入を求める場合は現実的な要求額とすること
・最終合意の文章はバランスの取れたものにすること

米中の通商協議の再開はまだ予定されていませんが、6月28日と29日に日本で開催されるG20で米中首脳会談が開かれる可能性があり、それが何らかの交渉再開の糸口となる可能性もあると見られています。