わが子には希望する進路を歩んでほしい。そのためには、早めの教育資金準備が必要。進学先が公立と私立では、必要な金額も大きく異なります。いざと言う時に慌てないよう、まずは平均的な金額の違いを知っておきましょう。

【図表1】子供一人にかかる教育費平均(小学校、中学校、高等学校)
 
【図表2】子供一人にかかる教育費平均(大学)
出所:図表1・図表2ともに文部科学省「子供の学習費調査」(2018年度)、「2018年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」より筆者作成(単位:円)

進学先によって、こんなに違う教育資金の平均額

小学校から大学まで、すべて公立なら約719万円

文部科学省では、2年ごとに高校生までの「子供の学習費調査」を行っています。2018年度版によれば、保護者が子供1人あたりに支出する教育費の平均額は、小学校から大学まですべて公立なら約719万円です。

公立小学校では学校教育費と学校給食費、つまり学校に支払う分はそれほど高額ではありませんが、学校外の支出が多くなっています。特にスポーツ関連のものが多く、野球・サッカー・スイミングなどが人気です。また、芸術関連では、ダンスや絵画なども関心を集めているようです。学習塾の費用は、公立小学校での平均は、1年間で約8万2000円ですが、塾に通っている公立小学校の子供の割合は約37.8%です。塾利用者の年間費用平均は、15.1万円(子供の学習費調査 2016年度版)なので、単なる平均値に惑わされないようにしましょう。

小学校は公立、中学校から私立なら約1,303万円

中学校から私立に進学すると、約1,303万円になります(大学は私立文系を想定)。
中学校の入試は、親子とも決して楽ではありませんが、いったん入学すれば、高等学校や大学までエスカレーター式に進学できるメリットもあります。また、思春期の難しい時期に、行き届いた指導があれば心強いと思う親御さんも多いでしょう。そのための学校教育費は、決して高いものではないのかもしれません。

中学校までは公立、高等学校から私立なら約1,028万円

高等学校から私立に進学した場合は、約1,028万円です(大学は私立文系を想定)。
高等学校への入学試験は、公立と私立の両方を受験するケースがほとんどでしょう。義務教育ではないこともあり、学校により進学指導や学校行事の違いが小さくありません。

進学指導では、塾に行かなくても十分に面倒をみてくれる学校もあれば、塾に行くことを前提にしているような学校もあります。塾に通っている子供は、公立の高等学校で35.4%、私立でも43.6%います。塾利用者の年間費用平均は、公立で約30万2,000円、私立で約39万4,000円です(子供の学習費調査 2016年度版)。私立だからと言って進学指導が万全な学校ばかりではありません。進学先選びは、大学進学まで見据えて考えましょう。

高等学校までは公立、大学は私立文系なら約874万円

大学から私立に進学した場合は、約874万円です。
ただし、大学の費用は私立大学文系で計算をしています。理系の場合は、4年間に必要な学費は平均約542万円なので、合計で約1,019万円。医歯薬系であれば、6年間で平均約2,357万円、合計約2,834万円です。

さらに、ここには子どもの生活費は含まれていません。自宅から通学する場合でも交通費や教材費がかかります。学費のほかに生活費も必要ですが、アパートなどの一人暮らしでは年間約110万円が平均です(日本学生支援機構「学生生活調査」2016年度)。大学生であればアルバイトができるようになりますが、理系や医歯薬系では実験・実習科目が多いとなかなか時間がとれないことも少なくありません。

教育費、大きな資金が必要になるタイミングは?

さて、教育費を合計するとかなり大きな金額になりますが、それでも各家庭でなんとかやりくりしているのは、月単位に分割されている支出が多いからでもあります。

ただし、大きな費用が必要になるタイミングがあります。たとえば、各入学試験の受験費用や、試験直前の集中授業は数十万円の出費になるケースが多いでしょう。また、推薦などで進学先が早期に決まる場合は、入学金の納入も早まります。学校や塾の先生、親同士のネットワークで情報は幅広く集めることが大切です。

教育費がどの程度になるのかは、子どもの進学先によって変わってきます。しかし子どもの希望や家族の想い等が大きく影響する部分になりますので、早めの準備と情報収集で、悔いを残さないようにしたいですね。