みなさん、こんにちは。『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。

新天皇が即位され、遂に時代は令和となりました。これから新たに生まれてくる令和世代からすれば、昭和生まれの筆者はきっとかなり昔の人間のように感じられることになるのでしょう。実際、筆者自身は明治生まれの方に対してそういった印象を抱いていました。きっと同じような印象を彼らに持たれるものと想像します。図らずも、時間は着実に進んでいるのだと痛感しています。

さて、大型連休もようやく終わりが見え、株式市場の再開も近づいてきました。注目は、市場が連休明けにおいても連休前の堅調さを維持できるかどうか、と考えます。強く始まるか弱く始まるか、当面の市場の趨勢はそこでかなり決まってくるのではないか、と思っています。

人材紹介が最近活況を呈する4つの理由

さて今回は、テーマとして「人材紹介と新卒の通年採用」を採り上げてみましょう。人材紹介ビジネスそのものはかなり以前からありました。専門性の高い職種でエキスパートを一本釣りするヘッドハンターから、登録された人材から要件にあった仕事を紹介するという登録紹介型のものまで、実にさまざまな業務スタイルが存在しています。

しかし、いずれも成功報酬(紹介者が就職を決めた際に初めて紹介手数料を獲得できる)型のビジネスモデルであることは共通しており、これによって紹介会社は紹介成立に全力を傾ける仕組みとなっているのです。そして、既にご存知の方も多いかもしれませんが、実は数年前より、人材紹介ビジネスはかなり盛り上がりを見せています。

その人材紹介が最近活況を呈してきたのにはいくつか理由があります。

まず、終身雇用の崩壊が進んだこと、第二に、それに併せて多様なライフスタイルを追求する人が増えたこと、第三に、人手不足の深刻化により企業側も即戦力の人材確保を急いでいること、そして第四に、即戦力人材を見極めるためにも、人材紹介会社自身も各自の得意分野に特化する動きが顕著になったこと、などが理由として挙げられます。

これらは圧倒的多数を占める登録紹介型の人材紹介会社において特に見られる傾向と言え(ヘッドハンターは以前より専門性の高い領域に特化しています)、各社がそれぞれ個性(売り)を明確に設定したブティック化が進んでいるのです。

これは当然、求職者からすれば紹介確率の向上や自身の強みを的確に認識してもらうことに繋がるうえ、企業側からしても高水準の人材と遭遇する可能性が引き上げられることになります。

かつて登録紹介型はリストラなどに遭って就職先を探す人が少なからずおりましたが、現在はむしろ積極的により高い自身の評価を目的にする方が増加しているとの指摘もあるのです。

新卒通年採用に適した人材紹介会社が市場で注目度を増す?

折しもそこに、経団連と大学側が「新卒学生の通年採用」で合意したとの報道が飛び込んできました。新卒通年採用の是非については、あえてここでそれを議論はしません。しかし、通年化によって、企業はよりじっくりと良い人材を選ぼうとするでしょうし、学生も企業が自身に合っているかどうかをより慎重に見極めることになると想像します。

これまでのようなイベント的で慌ただしい就活は徐々に鳴りを潜め、新卒も中途採用も大差ないような取り扱いになっていく可能性は大きいと考えるのです。

ここに人材紹介会社、特にブティック型の人材紹介会社にはビジネスチャンスが出てくるのではないかと予想します。株式市場においても、学生特化型のものや人気業種向けの実績が豊富な人材紹介会社には、より注目度が増していくのではないでしょうか。新卒通年採用は、実にこれまでの就活を一変させる可能性があると言えるのかもしれません。

なお、これらの動きは、広義で「働き方改革」に繋がるとも予想します。企業側がじっくり人材を見極められるということは、学生側もじっくり企業を見極められるということとほぼ同義です。

これまで学生は、就活イベントの中で慌てて就職を決めてしまい、結果として、入社先でその会社特有のやり方や価値観をある意味刷り込まれてきたとも言えます。しかし、じっくりと企業を見極める過程で、学生は旧来的な発想やシステムにノーと言える機会が増えることになるでしょう。

より高いスキルや即応性が求められる学生に対し、企業側も付け焼き刃の人事改革や学生への価値観の押し付けなどがあればそれも見抜かれてしまうということです。「学生から選んでもらえない」という事態を避けるためにも、企業は自ずと抜本的な働き方改革を急ぐことになると考えます。

これまでの働き方改革は、残業規制などどうも小手先の弥縫策との印象が拭えませんでしたが、新卒採用の通年化とそれへの人材紹介会社の介在が、結果として日本企業の労働生産性の抜本的な引上げに繋がると期待したいところです。