米中の経済指標の結果次第で重要な節目の上抜けも

前回のコラム「なおもドル独り勝ちで米ドル/円の下値も堅い」で、米ドル/円について「21日線、さらに200日線をも上抜ける展開となってくれば、あらためて112円台をうかがう展開となる可能性が高い」と述べました。

実際、先週11日、12日から今週明けにかけての米ドル/円は21日線、200日線を順に上抜けた後、一時的にも112円台に乗せる動きとなるなかで直近(3月5日)高値=112.13円にも顔合わせする格好となりました。

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:マネックス証券作成

今後、この112.13円処をクリアに上抜けてきた場合、まずは昨年11月初旬から12月半ば頃にかけて1つの節目となっていた112円台半ばの水準が試されるものと見られます。

さらに同水準をも上抜けて来れば、そこからは一気に114円手前あたりの水準まで目線が上がってもおかしくはないものと見ます。それ以前に、2015年6月以降長らく形成されている「三角保ち合い(トライアングル)」の上辺を上抜ければ、そこから一気に強気のムードが強まるものと見ていいでしょう。

もちろん、米ドル/円がいくつかの重要な節目を上抜けるためには一段の強気材料が必要になると考えられ、それは1つに米中の経済指標の結果ということになるものと思われます。

今週は、17日に中国の1~3月期のGDPや3月の小売売上高など複数の重要指標が発表となるうえ、18日には3月の米小売売上高の発表が控えており、その結果が待たれます。また、先週末にかけてドルの強気に加勢した米国の大手金融機関および主要企業の決算の結果も大いに気になるところではあります。

日経平均株価が2万2000円の大台回復、米ドル/円にも好影響

加えて、日経平均株価がいよいよ2万2000円の大台を回復し、大台固めの展開になるかどうかという点も大いに注目されるところです。週明け15日の寄り付きは、ついに2万2000円台に乗せてのスタートとなり、今後も強気の流れが継続することに大いに期待したいところではあります。

しかし、今週は15日からワシントンで日米の貿易協定交渉が行われることに伴い、市場で様子見姿勢が一旦強まる可能性もないではありません。これまで米国が通商交渉を行った国々との協議には例外なく為替条項が入っており、日本だけが対象から外れるとは考えにくいことも事実です。

ただ、仮に今回の交渉で実際に「為替条項」というワードが出てきたとしても、それが相場の大きな流れを変えるだけのインパクトを持つとは思えないことも事実です。ワードが出た瞬間にアルゴリズムが反応して一旦円高方向に触れれば、そこは短期で米ドル/円を買い拾うチャンスになり得ると個人的には考えます。

なお、いまだ継続している米中通商協議の行方については、一段の進展と一定の合意形成に対する期待が市場に強くあります。また、中国の景気刺激策の効果に期待するムードも見る見る色濃くなってきており、その期待は1つに米フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の尋常ではないほどの強い基調にも表れています。世界の半導体需要を地域別で見れば、やはり米中の寄与度が抜きん出て高いことは言うまでもありません。

SOX指数の上昇に連れて、日本の半導体関連株をはじめとする景気敏感株全般も強気の展開を続けており、結果的に日経平均株価が強含みで推移していることも米ドル/円の強気に一役買っていると考えられます。

ただ、4月下旬から5月初旬にかけての超大型連休を控えて、事前に手持ちのポジション(特に信用取引の建玉)を一旦整理しておこうとする動きがまとまって出てくると見られる点は目先的に要警戒とも言えるでしょう。