このレポートのまとめ
1.ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ
2.ピンタレスト
近くズーム・ビデオ・コミュニケーションズとピンタレストという2つの企業の株式が公開されます。そこで今日はそれらの企業ならびに競合企業について述べます。このレポートで言及する銘柄は以下の通りです。
ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ
ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ティッカーシンボル:ZM)は2011年に元Webexのメンバーにより創業されたビデオ・カンファレンス・サービス企業です。
「ZOOMする」というが「グーグルする」と同じように動詞化していることからもわかるとおり、同社のビデオ・カンファレンス・サービスはユーザーに大変好評です。
かつてビデオ・カンファレンス・システムは高価で、使いにくかったのです。そこでズーム・ビデオ・コミュニケーションズの創業者は「白紙の状態からきちんとしたビデオ・カンファレンス・サービスを設計し直そう」と考えました。
具体的にはクラウドをベースに、デベロッパーが使いやすいオープンAPIを採用しました。特別のデバイスを必要とせず、スマホなどを通じ、どこからでもビデオ会議に参加できる分散型データ・センターを活用した、極めて平易で信頼性の高いビデオ・カンファレンス・サービスをデザインしたのです。
ビデオはコンピューティング・リソースを多く消費します。それを念頭に置き、13ヶ所のコロケーションサイトにビデオに最適化したハブを設けました。この分散型アーキテクチャーにより同時に1,000人までがリアルタイムで1つのビデオ会議に参加できるスケーラビリティーを実現しました。
またストリーム・ラウティング、エンコーディング/デコーディングなどに工夫を凝らし効率化するとともにセキュリティーを重視した設計としました。
このようにしてズーム・ビデオ・コミュニケーションズのサービスが出来上がったのです。
さて、同社の商機ですが、ビデオ・カンファレンス市場は2020年で430億ドルと言われる巨大市場です。
ズーム・ビデオ・コミュニケーションズはまずセルフサービスでユーザーに試しに使ってもらい、その後、フィールド・セールスが顧客にアプローチする営業手法を採用しています。またリセラーを通じてマーケティングしています。
同社はサブスクリプション・モデルを採用しており売上高は予想しやすいです。
現在、5万社がズーム・ビデオ・コミュニケーションズの顧客となっており、このうち344社は年間10万ドル以上の使用料をズームに支払っています。
同社の売上高は急速に成長しています。2018年度は+118%の3.31億ドルでした。
同社の2019年度の売上高は前年比+100%以上で成長する見込みです。またNon-GAAPグロスマージンは80%を達成しています。
【略号の読み方】
DPS 一株当たり配当
EPS 一株当たり利益
CFPS 一株当たり営業キャッシュフロー
SPS 一株当たり売上高
顧客の離反は極めて低く、ドルベースのエクスパンションレートは+130%です。
同社の顧客は180ヶ国に広がっており売上高の18%が海外となっています。また海外の増収余地は極めて大きいです。
売上高に占めるセールス&マーケティング費用は現在55%ですが、将来は42%へ下がる見通しです。またR&D は将来10~12%をターゲットにしています。さらにG&Aは10%、営業マージンは20%をターゲットとします。
競合する企業としてはシスコ・システムズ(ティッカーシンボル:CSCO)のWebexとマイクロソフト(ティッカーシンボル:MSFT)のスカイプを挙げることができます。
ピンタレスト
ピンタレスト(ティッカーシンボル:PINS)は、画像を通じて自分の好きなモノを発見するツールを提供している企業です。
言葉で表すことは難しいけれど、写真で見れば一目でそれが自分の探しているものかどうかわかる……写真の持つそんな威力を存分に生かして、効率よく自分の暮らしを整理することがピンタレストの狙いです。
ピンタレストはユーザーによってキュレーションされた「アイデア集」ないしは「写真集」と言えます。
具体例として誰かがある写真を保存するとします。その写真を見た他のユーザーは自分なりの切り口で同じ写真を違う分類方法で分類します。たとえばビーチの写真を見た人は、「次のバケーションの候補地」としてそれを保存するかもしれないし、単に「美しいビーチ」として保存するかもしれないわけです。
広告業は見るものにインスピレーションを与えるビジネスに他なりません。ピンタレストは広告主に対して受け手の興味分野に限りなくマッチした訴求を行う場を提供しています。
ピンタレストは2.5億人の月次アクティブユーザーを誇っています。
このうち3分の2は女性です。そのユーザー層が新しい商品を発見する機会をピンタレストは提供しています。
世界の広告市場の規模は6,930億ドルでした。そのうちデジタル広告市場は2,720億ドルで、この部分は年率12%で成長しています。
さらにデジタル広告のうち消費財、小売業は640億ドルの広告費用を使いました。これに加えて旅行、電子機器、自動車、メディア&エンターティメント、金融サービス業は1,440億ドルの広告費を使いました。これらがピンタレストのターゲット市場になります。
プロダクト・ピンはすぐにショッピングできる価格情報などを含んだピンです。小売業者のウェブサイトに直結しており、そこでショッピングできます。
レシピ・ピンは料理に必要な調理法、食材などの情報をひとまとめにすることができます。
ショップ・ザ・ルックでは、個々の家具が部屋の中でどう配置されるかというアイデア全体を保存することができます。
ユーザーは新しい発見や検察のツールとしてピンタレストを利用します。また旅行のプランニング・ツールとしてピンタレストを利用します。
ピンタレストが実際に広告のビジネスを展開する際は、プロモーテッド・ピンズが標準フォーマットになります。広告主は入札方式でその広告を表示する機会を買います。
プロモーテッド・ピンズでは緻密なターゲティングが可能です。
広告主にとっては商品を探しているユーザーに対して直接訴求する機会が与えられるわけで格好の広告プラットフォームと言う事が出来ます。
毎月20億回のサーチがおこなわれており、これまでに1,750億の画像がユーザーによって保存されています。
ユーザー当たり売上高は下のように推移しています。
2018年度の売上高は7.5億ドルでした。また業績は下のように推移しています。
競合する企業としてはフェイスブック(ティッカーシンボル:FB)のインスタグラム、アルファベット(ティッカーシンボル:GOOG)のグーグル、スナップ(ティッカーシンボル:SNAP)のスナップチャットなどになります。