2010年も、はや7ヶ月が過ぎました。ここで一度現在の相場観的なところを一度まとめておきたいと思います。まず、中国ですが、本土A株指数は2010年4月中旬から大きく下落を続けていました。それが2010年7月2日には一旦底を打ち、現在は短期反発の中にあります。この背景には、以前にお伝えした4月に発表された、ここ数年で一番厳しい不動産価格抑制策の発表があります。実際のところ、新築住宅の代理販売企業で中国最大手のE-HOUSE(証券コード:EJ)によると、抑制策発表後、取引量が極端に落ち込み、4月の取引量を100とすると、5月は10か20。6月は25ぐらいまで回復してきたと言っていました。不動産取引量が数分の1になるということは尋常なことではありません。不動産は経済に非常に大きなインパクトを与えますので、そこまで取引量が縮小すると、実体経済に大きな影響を及ぼすだろうと予想されます。 つまり、不動産価格抑制策の発表のあと、それを見越してA株市場は3ヶ月半の間、下げ続けてきたというわけです。

不動産市場について、もう少しだけ詳しく書きますと、今、中国の不動産価格がどうなっているかというと、あまり下がっていません。というよりも取引が少ないので価格がどうなっているか断定できないのです。中国では中古市場があまり発達していませんので、住宅といえば一般的には新築を指します。その新築は政策が出たからといって、既に発売している物件の場合、既に購入者がいますから、厳しい政策が出たからと言って、おいそれと値下げができないのです。その一方で、4月の規制策が出てからは、これから不動産価格が下がるのではないかと消費者は期待しますので買い控えをします。だから取引量が細っているわけです。

では、今後どうなっていくかを考えると、下半期に発売される新築の不動産の価格がどれぐらい下がるのか、そして、どれぐらい流通量が戻ってくるのかにかかっていると思います。ちなみに、今後の中国株の予想について、2010年5月に英国経済紙のフィナンシャル・タイムズにより選出されたアジア最優秀投資家である頼穆煦氏は、2010年下半期の中国本土A株と香港H株は良いパフォーマンスになるだろうと予測しています。不動産株について、頼氏は2010年第3四半期から不動産価格が値下がり、第4四半期から不動産の取引量が大きく回復するが、その一方で、不動産銘柄の株価は悪材料を充分織り込んでいるため、長期的な視点から見て、割安感が出ているとの見方を示しています。

いずれにしても、今後の中国株を見て行くにあたり、不動産市場の動向は非常に重要な要素だと思っています。その情報を最も早くつかめるのは現場に行って状況を聞くことです。その情報をこのコラムでもお伝えして行ければと思います。