このレポートのまとめ
1.12月18・19日に連邦公開市場委員会が開催される
2.FFレートは0.25%引き上げられ2.5%になると予想されている
3.声明文に今後の利上げは「経済指標次第」という文言が挿入されるかに注目
4.水平飛行に移ってもすぐ景気後退が来るとは限らない
5.経済予想サマリーでの予想と市場参加者の考え方のすり合わせに注目
連邦公開市場委員会
12月18・19日の2日間に渡って今年最後の連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。
今回のFOMCは普段より重要です。その理由は連邦準備制度理事会(FRB)が金利政策の方向展開をシグナルする確率が高いからです。
政策金利はどうなる?
今回、アメリカの政策金利であるフェデラルファンズ・レート(=略してFFレート)はどうなる? ということですが、市場参加者はかなり高い確率(78.4%)で0.25%の利上げが実施され、2.50%になると予想しています。
声明文の表現が変化するかに注目
むしろ重要なのは声明文の表現がどう変わるか? です。私の考えでは次回以降の利上げに関しては「経済指標次第(data dependent)」という表現が挿入されると思います。
「今後のデータ次第ですよ!」ということを前面に打ち出すことで、暗に「2015年12月以来ずっと続いてきた利上げ局面は、まる3年をもって一旦終了します」ということをほのめかすわけです。
ちなみにこれまでの表現は「緩やかな引上げ(gradual increases)を予期している」というものでした。
これは旅客機に例えるならば、これまでは離陸後高度を確保するためにどんどん上を目指していたのが水平飛行に移るということです。
水平飛行に移ると何が起こる?
さて、FRBが政策金利を水平飛行に移した場合、「すわ景気後退がやっている!」と慌てるのもオッチョコチョイだし、逆に「これでマーケットに強気になれる!」と考えるのも早とちりだと思います。
なぜなら過去にFRBが利上げ局面から様子見(wait-and-see)に移行した場合、それに続いたのはハラハラ、ドキドキする不安な局面だからです。
この不確実性に満ちた不安定な新局面は、すぐに終わり、次の局面(=たとえば景気後退)へと移って行くこともあるし、逆に経済指標が高い水準で足踏みを続け、ハラハラ、ドキドキの局面が長く続く場合もあるのです。
従って今回のFOMCで「経済指標次第」ということが発表されても、慌てず、普段以上に経済指標への観察を強める必要があります。
経済予想サマリー
今回のFOMCでは声明文に加えて、FOMC参加メンバーおのおのの経済指標の予想を集計する「経済予想サマリー(SEP)」が公表されることになっています。
その中で2019年末のFFレートに関するコンセンサス予想がどう動くか? に注目してください。
現在の2019年末のFFレートのコンセンサスは3.1%になっています。すると今回のFOMCで利上げが実施され、FFレートが2.5%になったと仮定して、それからさらに2019年中に2.4回の利上げが行われるという計算になっています。
これは最新の市場参加者のコンセンサスとはかけ離れています。市場参加者は2019年9月18日のFOMCで、2019年初の利上げが行われ政策金利が2.75%になると織り込んでいます。
しかし2019年の利上げは、「これ1回でおしまい」というコンセンサスなのです。
するとFOMCメンバーは来年2.4回の利上げを予想しており、市場参加者は来年1回の利上げを予想しているわけですから、両者の間には大きな断絶があるわけです。
これを12月18・19日のFOMCでどうすり合わせしてくるか? が注目ポイントになります。