1.外国人投資家の大幅買い越し
J-REIT価格は、乱高下が続く株式市場とは異なり堅調な値動きが続いている。東証REIT指数は、11月26日に2017年3月以来となる1,800ポイント台を回復した。11月末時点の昨年末比騰落率は、日経平均株価が1%程度下落しているのに対して東証REIT指数は9%程度の上昇となり、J-REIT価格は年間ベースでも堅調な動きとなっている。
また11月は8月から続いた1,750ポイントをはさむ展開から、1,800ポイントに価格が上昇する時期ともなった。11月の価格上昇と牽引した投資主体は880億円買い越した外国人投資家だ。外国人投資家が800億円を超えて買い越しを行なったのは2016年3月以来であり、2007年2月の1,399億円、2016年2月の1,167億円に次ぐ歴代3位という大幅な買い越しだ。
外国人投資家の2018年の買い越し額は、月平均値で見ても突出した状態になっている。図表1は月平均の差引売買金額の推移を示しているが、リーマンショック前の2007年327億円に次ぐ大幅な買い越し額だ。2018年は12月に外国人が186億円売り越しに転じたとしても2006年の227億円を上回る歴代2位の買い越しを行った年ということになる。
2.日銀の動向
外国人投資家以外の投資部門の動向は、2013年から2015年にJ-REIT価格上昇を牽引してきた投資信託及び金融機関では歴代最大の売り越し額となりそうだ。
冒頭に記載した通り、東証REIT指数は投資信託の売り越し主要因とした2017年の下落分を取り戻したかたちにはなっているが、買い越し主体が大幅に入れ替わったことになる。このような点から、外国人投資家の動向が変化した場合にはJ-REIT価格が下落に転じるリスクが高くなっていると考えられる。
一方で2019年にJ-REIT価格が転じた場合には、日銀の存在感が増すことになりそうだ。日銀のJ-REIT買い入れ額は2018年11月末まで月平均で45億円となっており、図表2の通り金融緩和を強化した2015年以降では減少している。年間900億円としている買い入れ額は月平均では75億円となるため、11月までのペースで進むと540億円と大幅な減少となりそうだ。
ただし、株式市場では日銀のETF買い入れ額は12月11日時点で年間6兆円としている目処を突破している。日銀のETF買い越し額が過去最大となった要因は、株式市場が低迷していることが背景にあると考えられる。
日銀は、7月の金融政策決定会合で買い入れ額が市場の状況に応じて上下に変動するとしていた。11月までの実績では、ETFに関しては増加しJ-REITに関しては減少するという結果になっている。この点から、2019年にJ-REIT価格が低迷した場合には2018年に「積み残し」となった分もあるため、大幅なJ-REIT買い入れ額増加となることも想定できそうだ。