50代社員の士気低下が企業の経済損失に

先日、報道番組のWBS(テレビ東京)で特集されていたのでご覧になった方も多いかもしれませんが、最近注目される言葉に「50代シンドローム」というものがあります。

「年齢を事由とした配置転換や出向、役職定年を契機に、働く定年前の50代会社員のモチベーションが著しく低下する傾向」(定年後研究所)と定義されているようです。

「あきらめ、さびしさ、孤独、喪失感」などネガティブな感情に支配され、「もう、先も見えている」「もう、頑張っても仕方ない」という「もう」ばかり思い浮かぶようになってしまうとのこと。こうした50代社員の士気の低下が企業の経済損失にもつながるという、マクロ的に見ても大きな問題になってきています。

モチベーションの低下には、後半生に対する経済的な不安によるものも大きいのではないでしょうか。新しいことを始めようにも先立つものも…と不安にかられ、住宅ローンの残債や場合によってはまだ学費を必要とするお子さんがいることもありえます。

企業向けの社員研修も増えてきているとのことで、その中身は「キャリアプラン」「マネープラン」「個人のリスクプラン」の3分野だそうです。勤務先でこうした研修を受ける機会があったという方も、今後あるらしいと聞いている方もいるかもしれませんね。もちろん、こうした機会を上手に利用されると良いと思いますが、「適切なプランを提供しています」という研修提供サイドのコメントを見て、少し違和感がありました。

人生100年時代の後半に向け早めにマネープランを

人生100年時代の後半は、自分自身で演出していける、いくべき時間です。

「人事が全て」と言われるままに転勤も、配置転換も出向も受け入れなければならなかった人生前半とは異なり、自分でやりたいこと、向いていることを見出していける時間のはず。ライフプランニングを自身の手で、「能動的」に行うことこそが大切です。

20~30代、特に女性に見られる「自分探し」とは違う意味で、地に足をつけて前向きにプランすることで気持ちはポジティブになっていくのではないでしょうか。「もう」から「まだ」(「まだ、50代」「まだまだ頑張れる」)への変換です。

そのためにも、裏付けとなるマネープランをしっかりと見通しておかないと、人生後半では経済的な失敗の取り返しは難しくなります。前述の3分野の1つ、リスクプランが重要な意味を持ってきます。

今後の定期収入(給料、年金等)、一時的な収入(退職金、想定できる相続等)、今後の定期支出(生活費、住宅ローン残債、子どもの学費、定期的な必要経費等)、万が一の資金(病気等にかかわる支出)で、それらを時系列で把握することです。

若年期に考えるプランより、数字がより具体的に記入できるのが強みとも言えるでしょう。経済的な状況の把握が、「何をしていきたいか」の後押しになります。安心して、「次」に取り組めることを感じるようになれば、すでに「まだ」に達していますよね。

最後に、こうしたことは50代になって初めて考えるより、できればもっと早くに取り掛かれると、より余裕を持っていけるものです。まだ、時間はある!と他人事に思わず、早め早めに考えていきましょう。