先週10月29日から今月11月11日まで「香港ウィーク」が東京で開催中だ。ケリーラム氏が香港の行政長官として初めて来日し、各所で政財界の代表を招いた会合が開催され、各種文化的行事も企画されている。関心ある方は今週一杯なのでぜひご参加いただければと思う。
この様なイベントが開催されることは、香港に住む日本人としてとてもうれしく誇りに思う。この3年間総領事として大活躍された、在香港日本国総領事館の松田大使兼総領事によるご尽力のお陰ではないかと勝手に想像している(松田大使兼総領事は今月中旬にご帰任が決定しておられる)。
先月末に、筆者は昔18年間お世話になった銀行OB会で、僭越ながら最近の香港事情について話をする機会を得た。その際に話したのが、日本のメディアに散見する「香港役割終焉論」に対して「ノスタルジックな英国領香港を夢みる方は失望し、アジアの次世代のあるべき都市国家像「香港」としてみると色々なものが見えてくる」ということだ。
香港を表現する言い回しは多岐にわたる。
・24年連続経済自由度世界一の香港
・世界4位そしてアジアナンバーワン資産運用センターである香港
・資本市場としてNYSE(ニューヨーク証券取引所)と並ぶ世界のキャピタルが集まる香港
・外国人メイドさんの積極活用により女性の社会進出が男性と同率に達成する香港
・日本と並ぶ高齢化社会であるが「老人都市」という言葉を聞いたことがない香港
・低税率地域にも関わらず財政が健全である香港
・日本の農産物輸出先としては世界最大である香港
・NYとシリコンバレーに対比して、金融都市香港と赤いシリコンバレー深圳という2都物語の中で語られる香港
・金融・不動産の街から一気に文化都市としての昇華を図ろうとしている香港
(世界最大のアートエキシビジョン、アート・バーゼル)
・East meets Westのクロスカルチャーなるライフスタイルを味わえる香港
・そして無論中国本土へのゲートウェイとしての香港
日本という国が抱える高齢化、少子化、財政難、農業問題、行き場を失った膨大な個人金融資産、政治経済的に諸問題を抱える中国との関係、ダイバーシティ…。こんな問題に対して、香港という街はいろいろな処方箋を与えてくれそうだと筆者は常日頃感じている。
日本・香港関係というのを民間レベルでも再度しっかりと認識して、より深化した日香関係を築き、次世代の日本の若者達に様々な気づきを与える場を提供できないかと筆者は思っている。
東京都が1,375万人、大阪府が880万人、そして香港が740万人。日本の大都市に比べて意外と小さい街なのが香港なのだ。しかし、そこには1842年南京条約で英国に割譲された際には、住人5,000人の漁村が植民地化・中国への返還など、180年弱の歴史の荒波に揉まれつつ、賢く・懸命に・しぶとく・生きてきた市民の生き様が街の勢いに反映されていると感じる。
この街は、やはりどこまで行っても「あがる香港」なのである。
香港政府観光局のサイトもご覧いただきたい。