【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>

NYダウ: 24442.92  ▼245.39 (10/29)
NASDAQ: 7050.29  ▼116.92 (10/29)

1.概況

米国市場は米中貿易摩擦への懸念が改めて高まり大幅続落となりました。前日に大きく下げた反動もあって130ドル高と反発してスタートしたダウ平均はまもなくして350ドル高余りまで買われましたが、徐々に上げ幅を縮めるなか11月に予定される米中首脳会談で貿易交渉が進まない場合トランプ米政権は中国からの残りの全輸入品に追加関税を発動する方針と伝わると午後にマイナスに転じ大きく下げ幅を広げる展開となりました。取引終盤に570ドル安近くまで売られる場面もあったダウ平均は引けにかけて下げ幅を縮めたものの結局245ドル安の24,442ドルで取引を終えています。ダウ平均は荒い値動きとなり一日の値幅は918ドルとなっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も116ポイント安の7,050ポイントとなっています。

2.経済指標等

9月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.4%増となり市場予想と一致しました。変動の激しい食品とエネルギーを除いたPCEコアデフレータも前年同月比2.0%上昇し市場予想と一致しています。米個人所得は前月比0.2%増に止まり市場予想を下回りました。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち6業種が下げ、エネルギーと情報技術が2%近く下落したほか、資本財・サービスと通信サービス、一般消費財・サービスも1%以上下げています。一方で5業種が上げ、不動産と公益事業、生活必需品が1%を超える上昇となっています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄では米中貿易摩擦への懸念が改めて高まるなかボーイング(BA)が6%を超える下げとなりました。ダウ平均構成銘柄で下落率トップとなり、ダウ平均を1銘柄で160ドル近く押し下げています。また、大型買収による財務負担懸念でIBM(IBM)も4%余り下げたほか、マイクロソフト(MSFT)も3%近く下げています。

ダウ平均構成銘柄以外では、決算を失望した売りが続きアマゾン・ドット・コム(AMZN)やグーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)が大きく下げ、アマゾン・ドット・コムが6%以上、アルファベットが4%以上下げています。一方で中国が自動車購入にかかる税率の引き下げを計画していると伝わるなか中国での販売が回復するとの期待からゼネラル・モーターズ(GM)が1%を超える上昇となり、フォード・モーター(F)も3%以上上げています。電気自動車のテスラ(TSLA)も株主である英運用会社が追加出資に前向きだと伝わったことで1%を超える上昇となっています。

5.為替・金利等

長期金利は0.01%高い3.08%となりました。ドル円は112円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国株安を受けて下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が節目の21,000円を維持できるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)