北京の有力大学である北京師範大学が、親の行動が子供に与える悪影響についての調査を行い、 先月9月26日に結果を公表しました。
調査は、小学4年生112,000名、中学2年生74,000名、ならびに教員31,000名に対するアンケートにより行われました。
小学4年生、中学2年生ともに、最も多く挙げた親の問題行動は「約束を破る」でした。
小学4年生の回答は以下の通りです。
1位 約束を破る 42.2%
2位 他人との喧嘩 31.5%
3位 罵声を浴びせる、悪態をつく 28.6%
4位 痰を吐く 28.4%
5位 大声で話す 24.9%
6位 ごみのポイ捨て 24.0%
7位 行列への割り込み 12.0%
また、中学2年生の回答は以下の通りです。
1位 約束を破る 63.7%
2位 罵声を浴びせる、悪態をつく 44.4%
3位 大声で話す 42.9%
4位 痰を吐く 42.3%
5位 ごみのポイ捨て 35.0%
6位 他人との喧嘩 33.3%
7位 行列への割り込み 11.3%
全体的に、中学2年生の方が厳しい評価をしています。
成長とともに、親の行動を目にし、他人と比較する機会が増えていることが背景にあるものと考えられます。
小学4年生の13.7%、中学2年生の18.4%は、「親が頻繁に約束を破る」と回答しています。
恐らく多くのケースで、親の方は約束を破ったことを、あるいはもしかしたら約束をしたことすら認識していないのではないかと推察されますが、子供への影響は親が考えているよりも遥かに深刻です。
私も心しなければと反省させられます。
また、その他の行為については、親世代の幼少期からの経験や、中国人の生活習慣、価値観にも関わる問題ですので、なかなか一筋縄には行きません。
例えば、「大声で話す」は、日本でも空港や駅、繁華街などで中国人旅行客の行動を見て分かるところです。そもそも中国語が唇や舌の動きを多用し、「強い」発音をする言語であること、また特に年長者の間に、「大きな声ではきはきと話す」ことに対し、元気で快活であるとして良い評価をする傾向があることが背景にあります。
さらに、「ごみのポイ捨て」については、「掃除人のために仕事を作ってあげている」という意識の人もおり、また痰吐きも完全に生活習慣になってしまっている人が見受けられます。
中国は様々な点で一様でなく、格差あるいは意識の差が大きいのですが、行動規範やマナーについても、人々の間に考え方の差が大きく、なかなか容易には変わらないように思います。
教育関係の専門家は、子にとって親は最初の教師であり、親の行動を真似ることで育つので、親は影響の大きさを自覚すべきと述べています。
「親に嘘をつかれた子は、『嘘をついても構わない』と考える傾向にある」とも指摘しており、子の一生にも関わる問題です。
また、別の専門家は、親が子の前で乱暴な言葉遣いをすることで、子はその意味をよく理解しないまま、「カッコいい」などと誤解して自分でも使ってしまうことがあるとしています。親は、気付かぬうちに子に重大な影響を与えている可能性があることを自覚し、子の前では高い規範意識を保つ必要があると述べています。
世界の全ての親が理解すべきことですが、中国では長く続いた一人っ子政策の影響で、子を溺愛し過保護にする親もおり、わがままに育った子の問題も多く指摘されています。
様々な問題が背景にあり、容易には変わらないようにも思えますが、まずは親の意識の変化に期待したく思います。
親子を巡る問題に、現在の中国社会の様々な要素が反映されているように思いました。