台風がようやく通過したかと思えば、今度は北海道大地震です。本当に災害列島という様相です。いずれの災害においても被害に遭われた方には心よりお見舞い申し上げます。

8月の市場での台風の目の一つにトルコ・ショックがありました。だいぶ収束しつつありますが、前回書きましたハイパーインフレ同様、注意すべき新興国のリスクですので、確認しておきましょう。ちなみに新興国より下位に位置する国を「フロンティア」と呼ぶことがありますが、ここではまとめて「新興国」と呼びます。

新興国に投資するにあたり、その魅力はなんといっても成長力で、それによる大きな収益期待です。その源になるのは、主に以下のような点になります。

1.豊富な資源
2.人口の多さ・賃金の安さ(生産性)
3.市場規模拡大の期待(消費力)
4.高金利(特にFXや債券投資における魅力)

こうした魅力がある反面、新興国の多くは共通する脆弱性を抱えています。

1.政情不安
政府、中央銀行、政策などの信頼性が低い(ただし最近は大国でも信じられない政策を発表しますけれど…

2.経常赤字
海外からの緩和マネー等が流入することでバランスを取っており、海外からの借金が膨大になっている

3.高インフレ
「ハイパー」にならないまでもインフレ体質。そのために高金利政策に頼らざるをえない

4.欧米からの借金が主に米ドルやユーロ建
為替下落により、借金がどんどん大きくなってしまう。自国通貨の弱さゆえ

5.欧米の政策の影響大
資金逃避される可能性は即市場での不安になってしまい、通貨、株の下落に拍車をかけてしまう

6.市場規模の小ささ
何かあったときに暴落しやすい

トルコ・ショックも然りで、上記5による米国の政策に対立したことに端を発していますが、結果として自身に跳ね返り、トルコの通貨・株の下落に留まらず、その上金融市場全体に動揺を与えました。

こうした不安要素を可視化できるのが、ソブリン・リスク(カントリー・リスク)として格付け会社が発表しているものです。「その国にお金を貸すとどのくらい確実に返済をしてくれるのか」という点で評価されています。

債券投資をされる方はご存じの方が多いと思いますが、FXであったり、投資信託でその国、地域にも投資しているけれど、円建てのものだったりすると、あまり気にしない投資家もいらっしゃるようです。また、日本株や米国株であっても、そうした新興国地域・国で業績を上げているような企業には直接の影響がありますので、ソブリン・リスクは一度確認されるとよいでしょう。

金融市場がボーダーレスになっている現在、新興国そのものに投資をしていなくても大きく影響を受ける可能性は高く、連鎖が大きいケースであれば、市場全体が揺らぎます。自分の投資は関係ないというわけにはいかないことを認識し、世界の経済・政治状況にアンテナを広げて情報収集するようにしていきましょう。