NYダウ: 21948.10  △55.67 (8/31)
NASDAQ: 6428.66  △60.35 (8/31)

【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>

1.概況
米国市場は弱い物価指数を受けて早期の利上げ観測が後退し続伸となりました。上昇して始まったダウ平均はしばらくして90ドル高余りまで買われました。その後上げ幅を縮めたダウ平均ですが堅調に推移すると取引終盤には再び90ドル高近くまで上昇する場面もみられました。引けにかけてやや上げ幅を縮めたダウ平均は結局55ドル高の21,948ドルと3日続伸となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も前日に続いてハイテク株やバイオ株に買いが入ったことで60ポイント高の6,428ポイントと1%近い大幅上昇となり、7月26日に付けた史上最高値をおよそ1カ月ぶりに更新しています。

2.経済指標等
7月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.3%増となったものの市場予想を下回りました。また、変動の激しい食品とエネルギーを除いたPCEコアデフレータは前年同月比1.4%上昇に止まり市場予想と一致しています。米個人所得は前月比0.4%増となり市場予想を上回っています。8月のシカゴ地区購買部協会景気指数も前月から横ばいの58.9となり低下を見込んでいた市場予想を上回っています。先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比1千件増の23万6千件となったものの、市場予想ほどは悪化しませんでした。6月の中古住宅販売仮契約指数は前月比0.8%低下の109.1となり上昇を見込んでいた市場予想も下回りました。

3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうちヘルスケアや素材、情報技術などの9業種が上げ、ヘルスケアは1%を超える上昇となっています。一方で電気通信サービスと金融が下げています。

4.個別銘柄動向
目標株価の引き上げを受けてユナイテッドヘルス・グループ(UNH)が1%を超えて上昇しダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなり、ダウ平均を1銘柄で20ドル余り押し上げました。業界再編の思惑などからファイザー(PFE)やメルク(MRK)も1%を上回る上昇となったほか、大幅な人員削減を計画していると伝わったゼネラル・エレクトリック(GE)も1%余り上げています。一方で傘下のABCテレビで人員削減を含むリストラ策を検討していると報じられたウォルト・ディズニー(DIS)がダウ平均構成銘柄で下落率トップとなっています。ダウ平均構成銘柄以外では、取締役による株式取得が明らかになったティファニー(TIF)が大幅高となり、8月の既存店売上高が市場予想を上回ったコストコ・ホールセール(COST)も堅調でした。決算が減益となった1ドルショップのダラー・ゼネラル(DG)と、決算で売上高と1株利益が市場予想を下回った食品のキャンベル・スープ(CPB)はともに大幅安となっています。

5.為替・金利等
長期金利は早期の利上げ観測が後退したことで0.02%低い2.11%となりました。こうしたなかドル円は円高に振れ110円近辺で推移しています。

【VIEW POINT: 今日の視点】
米国市場が上昇し、ナスダック総合株価指数が史上最高値を付けていることから本日の日本市場も堅調なスタートが予想されます。今晩に米雇用統計の発表を控え様子見となりやすいなかで日経平均が25日移動平均線(昨日時点で19,708円)を試すような展開となるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)