1.概況
本日の日経平均は158円高の1万9155円と5日続伸して年初来高値を更新、昨年末の終値1万9033円を上回り、年間リターンがプラスに転じました。先週末の米国市場でダウ平均などの主要指数が揃って史上最高値を更新、ドル円が115円台まで円安に振れたことを受け日経平均は187円高の1万9183円と大幅に続伸して寄り付きました。日経平均は寄り付き後も上げ幅を広げると、9時半過ぎに284円高の1万9280円と1日の高値をつけました。その後は高値警戒感からか徐々に上げ幅を縮め、前場を146円高で終えました。後場寄り後にさらに上げ幅を縮めた日経平均は、一時は上げ幅が60円足らずとなる場面もありました。日経平均はその後持ち直し、結局5日続伸で年初来高値を更新して取引を終えました。東証1部の売買代金は3兆3144億円と連日で3兆円を上回る大商いとなっています。本日は先週までやや低調だった内需ディフェンシブセクターの上昇が目立ちました。食料品が3%超の上昇で上昇率トップとなったほか、水産・農林業、サービス業、小売業などが高い上昇率となりました。
2.個別銘柄等
日経平均は大幅上昇となりましたが、東証1部の売買代金上位銘柄は軟調な銘柄が多くなりました。売買代金トップの三菱UFJ(8306)が1%超下げたほか、トヨタ自動車(7203)、野村(8604)、みずほ(8411)、ソフトバンクグループ(9984)、三井住友(8316)がそれぞれ下げています。一方、最近の株高の中でやや出遅れていた銘柄の一角に買いが入り、NTT(9432)が3.3%高、KDDI(9433)が2.4%高となりました。材料が出たところでは、総務省がソフトバンクグループに対して日本通信(9424)との通信回線の接続協議を再開するよう指示する方針だと報じられ、日本通信が24%超の上昇で東証1部の上昇率トップとなりました。
【VIEW POINT: 明日への視点】
日経平均は大幅続伸で昨年末の株価を上回り、年間リターンがプラスに転じました。また、本日は足元で買われていた銀行や証券、海運などが売られ内需ディフェンシブセクターが選好されたことが特徴的でした。今週は13日から14日にかけて行われる連邦公開市場委員会(FOMC)やトランプ次期大統領の記者会見、日銀短観の発表などが注目材料です。中でもFOMCでは1年ぶりの利上げが実施される可能性が非常に高く、来年以降の金利引き上げペースについてどのような示唆が行われるかが注目材料です。9月のFOMC後に示された2017年末のフェデラル・ファンド金利のメンバーの予測の中央値は1.125%でした。これが大きく上方修正されることになれば、日米金利差の拡大が意識され一段のドル高材料となる可能性があります。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)