昨年末からの主要指数のパフォーマンスは?

本日(29日)で2017年度上半期の取引も終了である。本レポートの本題に入る前に昨年末と比較した28日時点の国内外の主要な株価指数の騰落率を確認してみよう。日本株にしか投資しない方にとっても、世界の中での日本株の立ち位置を確認しておくのは有意義であると考える。

表1のように国内指数では東証2部指数が27.5%の上昇と抜群にパフォーマンスが良い。前回のレポートにも記したように、リーマン・ショック以降最もパフォーマンスが良い主要な国内株価指数は東証2部指数である。ただ、現在の同指数は東芝(6502)とシャープ(6753)で指数寄与度が3割を超えるややいびつな指数となっている。東証2部指数に続いて新興市場のマザーズ指数が14.5%の上昇、TOPIXが10.4%の上昇と続き日経平均は6.5%の上昇である。

また、海外指数では香港のハンセン指数が25%近い上昇と非常に良いパフォーマンスである。続いてNYダウ平均が13.3%の上昇で続く。米国の株価指数は今年に入って史上最高値更新が続き、あまり大きな調整がなかったため非常に大きく上昇しているイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれないが、実はTOPIXとのパフォーマンス差は3%に満たない。TOPIXの上昇率はドイツのDAX指数とほぼ並び、上海総合指数を上回っている。今年に入って日本株のパフォーマンスは主要な海外株価指数に比べて大きく劣後しているわけではない。

さて、下半期はどのようなパフォーマンスとなるのだろうか。来週(10月第1週)にチーフ・ストラテジスト広木の日本株全体の見通しに加えて、チーフ・アナリスト大槻の銀行株見通し、シニア・マーケットアナリストの金山の注目銘柄、そして筆者の注目銘柄を掲載した最新情報がマネックス証券のウェブサイトに掲載される予定となっている。ぜひご参照いただきたい。それでは本レポートのメインテーマに入っていこう。

10月の好パフォーマンス銘柄は

今月も毎月ご紹介している月別の過去の好パフォーマンス銘柄をご紹介しよう。今回はもちろん10月の好パフォーマンス銘柄である。東証1部・2部・マザーズ上場銘柄のうち、過去10年間の株価データを取得できた1,892銘柄について、9月末と10月末の株価を比較した騰落回数を算出した。表2の通り、過去10年間10月に10年とも上昇した銘柄はなかったが10年のうち9年で上昇した銘柄が2銘柄、8年で上昇した銘柄が36銘柄あった。また、反対に過去10年10月に1回も値上がりしていない銘柄が6銘柄あった。それぞれご紹介したい。

表3に示したように、過去10年のうち9年で上昇したのは日立国際電気(6756)、東京建物(8804)の2銘柄であった。特に日立国際電気は過去10年間の10月の平均上昇率が8.3%という高リターンとなっている。日立国際電気は海外ファンドによるTOBが行われる予定だったが、株価上昇により見送られ、その後別ファンドが株式を買い付けるなどして足元で株価が急騰している。ややイレギュラーな銘柄だが今後の推移に注目したい。

10年のうち8年で上昇したのは36銘柄あり、うちイー・ギャランティ(8771)、バナーズ(3011)、タカラレーベン(8897)、ビューティ花壇(3041)の4銘柄は過去10年の平均上昇率10%を超える高リターンだ。過去のアノマリー通りであればこれらの銘柄は10月の株価上昇が期待できるかもしれない。

では続いて、過去10月に不調だった銘柄もご紹介しよう。以下表4に示したクレアホールディングス(1757)、大盛工業(1844)、アヲハタ(2830)、巴工業(6309)、ナカバヤシ(7987)、泉州電業(9824)の6銘柄は過去10年10月に1度も上昇していない。ナカバヤシと泉州電業は貸借銘柄であるためマネックス証券で信用取引を活用し空売りを行うことも可能である。

先月紹介した銘柄の成績は?

先月の本レポートをお読みいただいたお客様より以下のご感想を賜った。以下は頂戴したご感想そのままである。「過去10年間で、〇月に上昇した銘柄、下落した銘柄、大変有意義です。願わくば、1か月前の記事について、では今年の〇月はどうなったか、を記事化して頂けると、更に記事の価値がアップすると思います。(どの程度、信じられるデータか、わかりやすい。)よろしくお願いします。」

貴重なご指摘に心より感謝します。本当にありがとうございます。今後はレポート内でご紹介した銘柄のその後のリターンも随時ご紹介して参ります。

さて、8月30日の本レポートでは「過去10年、9月に10回中9回上昇した銘柄(6銘柄)」と「過去10年、9月に1回も上昇していない銘柄(8銘柄)」をご紹介した。それぞれの株価がどうなったかをご紹介する。本当は9月29日の終値で成績を考えるべきだが、レポート執筆のタイミングから9月28日の終値で検証していることをご容赦いただきたい。

まず、「過去10年、9月に10回中9回上昇した銘柄(6銘柄)」は今年の9月に表4の通り6銘柄中5銘柄が上昇した。TOPIXが3.6%上昇しているので、ある意味当然とも言えるかもしれないが概ねプラスリターンを確保した。中でも第一稀元素化学工業(4082)はノーベル賞関連銘柄としてクローズアップされ株価が急騰した。

続いて同じく8月30日のレポートでご紹介した「過去10年、9月に1回も上昇していない銘柄(8銘柄)」である。こちらは8銘柄中7銘柄が下落した。概ねこちらもアノマリーに沿った結果となった。ただし、レポート内でも記したようにこれらは多くの銘柄が9月末に株主優待の権利が確定する銘柄であった。これらの銘柄を空売りしていた場合「逆日歩」の費用がかかり結果的に利益が出ていない可能性がある点にはご注意いただきたい。

今後のレポートでもレポートで紹介した銘柄のその後の株価動向をご紹介してまいりたい。ご参考いただければ幸いである。