前回(5月14日)更新分の本欄で、ユーロ/ドルについて「再びユーロ/ドルが1.1900ドル処をクリアに下抜けるような展開となれば、そのまま1.1600ドル処や昨年11月安値=1.1554ドルを試す展開となる可能性もあり得る」と述べました。実際、5月15日に再び1.1900ドル処を下抜ける動きを見せたユーロ/ドルは、そのまま1.1700ドル割れの水準まで下押し、依然として下げ一巡といった感触はありません。

「一旦戻りを試す展開へ」との感触を得るためには、まず4月19日高値と5月14日高値を結ぶレジスタンスラインをクリアに上抜けてくる必要があり、その場合は一旦21日移動平均線を意識した展開になると思われます。また、なおも下げに歯止めがかからなかった場合は、昨年11月安値の1.1554ドル前後、あるいは昨年1月安値から直近(今年2月)高値までの上昇に対する50%押し=1.1448ドルあたりを試す可能性もあるものと見ておく必要があるでしょう。

このように、対ユーロでのドルの上昇はいまだ継続していますが、対円でのドル(=ドル/円)の上昇については直近(5月21日)高値=111.40円をもって目先一巡となりました。それは、以前から本欄でも大いに注目していたドル/円の複数の重要な節目が110-111円処に集中していて、それらの節目に一旦到達したことが一因であると見られます。

また、以前から形成されていた三角保ち合い(=トライアングル)の上辺に再び接近したことから一旦上げ渋ったと見ることもできるように思われます。このトライアングルとは「2015年6月高値と2016年12月高値を結ぶレジスタンスライン」を上辺、「2016年6月安値と今年3月安値を結ぶサポートライン」を下辺と見做した中段保ち合いのフォーメーションのことを指しており、それは下図に見るように「A-B-C-D-Eの5波構成」になるものと個人的には見ています。

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そのうえで2016年12月高値からの調整を「C波」とすると、3月23日の安値=104.64円は「C波」の終点であり、同時に「D波(リバウンド波)」の起点でもあると考えることができ、そうであるとすれば当然、この「D波」ではトライアングルは完成しません。つまり、5波目の「E波」をもって完成と相成るわけですが、既知のとおり、5波目の「E波」というのは「往々にしてサポート水準にまでは至らない中途半端なところで切り返すのが常」とされることは一応念頭に置いておきたいものと考えます。

これは、あくまで仮定的なシナリオの一つに過ぎないわけですが、それを前提に考えると、場合によっては執筆時における直近(5月21日)高値=111.40円が「D波」の終点となった可能性もないではないものと見られます。その場合、同水準からが「E波」の調整局面ということになり、同波の調整は前述したサポートライン水準までには到達しない(深押ししない)可能性が高いということになるわけです。

ここで5月21日高値からのドル/円の調整の目安を考えておきますと、それは一つに3月23日安値から5月21日高値までの上昇幅に対する38.2%押しの水準=108.82円であり、今一つに50%押しの水準=108.02円処ということになると見られます。なお、いずれ「E波」が終点を迎えて切り返した場合には、いよいよ次にトライアングルの上辺ブレイクにトライする可能性が高まるものと思われます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役