昨日(2月27日)、米下院金融委員会での証言に臨んだ米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長がややタカ派寄りの先行き見通しを披露したことより、市場では「米利上げが年4回となる可能性」が取り沙汰され、一時的にもドル買いを誘うこととなりました。 結果、2月15日をボトムに持ち直しつつあったドル指数(ドル・インデックス)も2月9日につけた直近高値に顔合わせする水準まで上昇し、目下は同高値水準をネックラインとするダブルボトムの転換保ち合いフォーメーションを完成させるかどうかの瀬戸際となっています。無論、ここでダブルボトムが完成に至れば、文字通り、2月15日安値をもってドル指数は序章トレンドに"転換"したと判断することができるようになるでしょう。 それは、同時にドル/円の2月16日安値が「 前回(2月21日)更新分の本欄でも触れた『20週(安値)サイクル』の新たな起点になった」ことをも指し示す可能性があると考えられ、とにかく目先はドル指数が明確にダブルボトムを完成させるかどうか否かを見定めることが重要であると思われます。 仮に、ここでドル指数がダブルボトムを完成させるとすれば、逆にユーロ/ドルは「ダブルトップの転換保ち合いフォーメーションを完成させる可能性が高い」ということにもなりそうですが、その点はどうでしょうか。下図にも見るように、実際、ユーロ/ドルの昨日(2月27日)の安値は直近(2月9日)安値と顔合わせする格好となっており、目下はまさにダブルトップのネックライン水準での攻防が繰り広げられていると言えます。

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もともと、2月20日以降のユーロ/ドルは21日移動平均線(21日線)に上値を押さえられており、この21日線が下向きになっていることからも基本的には弱気の流れのなかにあると言わざるを得ません。もちろん、2月9日安値が位置する1.2200ドル処が目先の下値支持役として機能する可能性も大いにあるわけですが、それだけに同水準をひとたび下抜ければ、そこから一段と下げ余地が拡がりやすくなる可能性も高いと言えます。 また、目下のユーロ/ドルはともすると一目均衡表の日足「雲」のなかに潜り込んでしまいかねない状況となっており、そうなれば以降はしばらく上値の重さがなかなか払拭できない状態が続くようになるものと見られます。この日足「雲」に潜り込み、さらに前述したダブルトップが完成するとなれば、いずれは日足「雲」下限を一旦下抜ける可能性が強くなると見ておく必要もあるでしょう。 さらに、今足下で日足の「遅行線」が日々線を下抜ける動きとなってきている点も大いに気に掛かります。振り返れば、昨年(2017年)9月8日高値から11月7日安値に向けてユーロ/ドルが一旦調整した場面においても、そのプロセスのなかで日足の遅行線は日々線を下抜けることとなりました(図中の青点線楕円に注目)。今回も明確に日々線を下抜けることとなれば、以降はしばらく調整含みの展開を余儀なくされるものと見ます。 周知のとおり、目下の市場には3月4日に行われるイタリア総選挙、および同日に判明すると見られるドイツ第2党、社会民主党(SPD)の党員投票などの結果を待ちたいとのムードも漂っています。其々の結果によっては、一段とユーロ売り圧力が強まる可能性もないではなく、まさにユーロ/ドルは今、ひとつの正念場を迎えていると言えそうです。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役