本欄の 10月18日更新分において、ユーロ/ドルは「8月17日安値や10月6日安値が位置する1.1660-70ドル処をネックラインとしたヘッド・ショルダーズ・トップ(三尊天井)を形成している可能性がある」と指摘しました。

実際、下図でも確認できるとおり、ユーロ/ドルは10月26日に89日移動平均線(89日線)ならびに三尊天井のネックラインと思しき水準を一気に下抜け、一つの典型的な「転換保ち合い」のフォーメーションを完成させることとなりました。つまり、このことによって今年の年初から続いていた上昇トレンドが9月8日高値=1.2093ドルをもって終了し、すでに下降トレンドに転換した可能性が高いということになります。

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周知のとおり、10月26日というのは欧州中央銀行(ECB)の定例理事会が行われた日です。この日、ECBは国債などの資産購入の終了時期を来年9月末まで延長し、そのうえで来年1月以降の資産購入量を減額すると決めたものの、必要に応じて9月以降の延長も検討する用意があるとし、場合によっては購入量を再増額する可能性まであるとしました。

さらに、ドラギECB総裁は「終了時期をオープンエンドにすることをメンバーの大多数が支持した」とあらためてアピールし、資産購入量の減額は「テーパリング(定期的に一定量ずつの減額を続ける措置)ではない」とまで言明しました。さらに総裁は「物価上昇圧力はいまだに弱い」、「成長への下方リスクには為替相場が含まれる」とも語っており、前回9月の理事会と同様、またもユーロ高をあからさまに嫌気する姿勢を示したのです。

つまり、ECBが企図している量的緩和策からの出口戦略は、これまで市場関係者や参加者らが想定していたものに比べてかなり緩やかで、言うなれば「期待外れ」なものとなったわけであり、当然、9月初旬までユーロ買いを煽りに煽り続けていた向きは大いに失望しました。筆者は長らく「ときに市場は間違うことがある」、「市場の期待は過大である」と考え、そう述べてもきました。とはいえ、外国為替相場というものは「ひとたびトレンドが出ると長く続き、そう簡単には転換しない」ということも事実で、今回もそのことをあらためて思い知らされました。

とまれ、ここに三尊天井が完成したことで、9月8日に直近高値をつけてからのユーロ/ドルは下降トレンドに転じた可能性が高いと見做されることとなりました。これまでのところは9月8日高値と以降の高値を結ぶラインと、それに平行して10月6日安値を通るラインとで形成される下降チャネル(図中赤点線)内で推移していると考えられ、このチャネル下辺は年内にも1.1200-1.1300ドル処というレベルまで低下して行きます。

テクニカル分析のセオリーに基づいて考えれば、三尊天井が完成した場合の下値の目安の一つは「三尊天井のトップからネックラインまでの値幅と同じ値幅だけネックラインから下方にとった値」ということになり、それは計算すると1.1200ドル台前半あたりの水準ということになります。

実のところ、ユーロ/ドルが年初につけた安値=1.0340ドルからの直近高値までの上げ幅に対する半値(50%)押しの水準というのも1.1200ドル台前半で、やはりそのあたりの水準は中期的な下値の目安の一つということになりそうです。なお、同水準に向かうタイミングに相前後して200日移動平均線(200日線)が強く意識される場面もあるものと見られます。総じて、当面はユーロ/ドルの下値リスクに要警戒ということになるでしょう。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役