サンプラザ中野だー!
39.5度とは恐れ入った。俺はたまたま大阪にいたので体験できなかった。いつもだったら大阪朝日放送の「おはよう朝日です」出演後、昼過ぎには東京に戻る火曜日なのであるが。その日は大阪大学に行っていた。大阪大学大学院に塚本昌彦という名物助教授がいる。マルチメディア工学を研究している。この男に会いに行ったのだ。
彼はウェアラブル・コンピュータを開発・推進している男だ。ウェアラブルとはウェアがエイブル。つまり「身に着ける事ができる」コンピュータのことである。小さなコンピュータ本体を身体に着ける。そしてヘッドマウントディスプレイ(HMD)で画面を見ながら操作する、のである。ヘッドマウントディスプレイとは、メガネの様に頭部に引っ掛けて使用するディスプレイのことだ。塚本助教授はこのHMDを装着した姿で様々なメディアに登場している。見たことのある読者も多いだろう。
これは音楽で言えば「ウォークマン」なのである。俺は高校生のとき、ウォークマンを中古で手に入れた。それを身に着けて近所を歩いたとき、電車に乗って流れる風景を見たとき、たいそう感激した。二つのスピーカーの三角形の頂点に座りじっと聞き入る、という音楽鑑賞のあるべきスタイルを壊した。それがウォークマンだった。その革命をコンピュータでやってしまおうとしているのが塚本助教授なのである。
俺がこのムーブメントに着目したのは他でもない。ステージで使えるのではないか、と踏んだからだ。クラシックの演奏家は譜面を見ながら演奏する。フォーク歌手は譜面を見ながらギターを弾いて唄う。しかし何故かロック歌手はそれが許されない。これは何故かもう許されない。歌舞伎には黒子がいて、役者が台詞に詰まると声に出して教える。黒子は台本を手に読んで教えるのだ。日本一のロックバンド・サザンオールスターズの桑田氏はステージにモニターを置く。歌詞が流れてくる仕組みになっている。それを人に話すと引く。「歌詞覚えてないんだぁ?」と。「自分で書いた歌詞なのにぃ?」と。吉田拓郎は引かれないのに、だ。正直、覚えにくい歌がある。覚えにくいというだけで唄わなくなる。選曲しなくなるのである。これはもったいない。
で、ウエアラブルなのである。俺はもともとサングラス男なので、HMDが違和感なく受け入れられるのではないかとも思う。ウエアラブルコンピューティングを世に広めるという使命も感じつつ、使わせてもらえたら嬉しいぞ。と思っている。ちなみにHMDは売られている。あの「島○製作所」制だそうだ。流行ったら騰がるぞ、株価が。たぶん。