来週の東京株式市場は4日立会いですし、今週に比べると大きなイベントがありません。ただ、材料がないから動かないかというとそうではありません。日本の3連休中に米ダウ平均などが再び高値を更新するような動きがみられれば、いよいよ動意付く週になるかもしれません。
一方、FOMC(連邦公開市場委員会)が通過した直後、ドル/円相場は1ドル=113円台まで円高が進みましたので、輸出主力株は手掛けづらい。米長期金利の低下で銀行株や保険株も手掛けづらい。考えられるのは、米長期金利低下によって新興国からの資金流出懸念が和らぐといった見方です。米利上げがあった当日、NY原油先物が上昇、ブラジルボベスパ指数が相対的に大きく上昇、上海総合指数も大幅高(全人代終了後のアノマリーか?)となったところをみると、商社株や鉱業株などの資源関連株への買い戻しが予想されます。今月に入って最も下落している鉄鋼株などもセクター内で出遅れ感が強い。
さて、毎年書いていますが、この時期になると毎年話題になるのが「配当再投資の買い」です。「配当再投資の買い」とは、年金資金などを配当込みベースで運用・管理する信託銀行などが、運用ポートフォリオに占める株式資産の配当落ちによる目減りを補うために買いを入れること。配当金を実際受け取るのは2~3カ月あとになるため、目減り分相当額を埋めるため先物買いが機械的に入りやすいのです。9月の最終週も同じです。
過去3月最終週の信託銀行の先物手口(TOPIX先物のみ)は以下の通り。
2009年2,091億円買い越し(3/23-3/27)
2010年2,426億円買い越し(3/29-4/2)
2011年1,982億円買い越し(3/28-4/1)
2012年2,095億円買い越し(3/26-3/30)
2013年1,088億円買い越し(3/25-3/29)
2014年2,595億円買い越し(3/24-3/28)
2015年2,845億円買い越し(3/23-3/27)
2016年4,012億円買い越し(3/28-4/1)
運用機関がすべて同じタイミングで買いを入れるというわけではありませんが、例えば、権利付き最終日(今年は3/28)の引けにかけて買いを入れる場合もあるだろうし、権利落ち日、権利落ち日の翌営業日なども考えられる。
今年の配当落ち分はTOPIXで13.7P程度と見込まれています。3/15現在のTOPIX(1571.31P)の0.87%相当にあたります。TOPIXに連動する資産が世の中に30兆円程度あるとした場合、2,600億円(30兆円×0.87%)程度が権利落ちにより運用資産が目減りする計算になるため、その分が買い需要と試算できます。下落局面では一時的な下支えにしかならないケースが多いですが、今のような上昇局面では決して無視できないインパクトになると考えてもよさそうです。
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東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
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