ドル円は1ドル=114円台から円安方向に上値が重く、すでに来週のFOMC(連邦公開市場委員会)での米利上げを織り込んでいる状況です。週末の米2月雇用統計の結果や、上記FOMC後の議長会見の内容で、追加的な利上げムードが高まるかを確認するまでは、円安がさらに進み、大型株が買われるイメージは描きづらいと思います。
そういった意味では、3月前半は東証2部やジャスダック、マザーズなどの小型株の騰勢が保たれる可能性が高いですが、大型株は需給のカレンダー上の節目といわれる3月限のメジャーSQ(今年は10日)を境に上昇が強まる可能性が高い。メジャーSQとは年に4回ある、先物・オプションの決済期日です。3月、6月、9月、12月の各月の第2金曜日と決められています。現物株が先物の動きに左右させられることが多くなった昨今では、相場の分岐点になることが多いともいわれています。そこで、過去5年間の3月のSQ日を基準にして、日経平均がその前後でどう動いたかを平均値でみますと、SQ前は少し弱含む場面もありますが、SQ後の10日間前後は比較的上昇する傾向があります。年度末による決算対策の売りが3月前半で一巡するほか、おおむねSQが終わったあと11日以内に株主優待・配当の権利付最終日を迎えることが多く、それを目的とした買いが上昇の要因になりやすいことが推測できます。最近は業績がパッとしなくても配当を引き上げる企業が増えていますので、今年も海外市場に波乱がなければの話ですが、SQ後は上昇が期待できると思います。
SQ後も動かなければ、次は23日~27日までが変化日になりやすいとみています。ダウ平均の95日周期の終点もその辺りなので、日米同時的に動意が強まる可能性が高いともいえます。
さて、日経平均のチャート分析で短期的なポイントは、25日移動平均線(19237円、7日現在)と75日移動平均線(19035円 同)が接近する時期です。現在、25日移動平均線を挟んでモミ合い(調整)です。ただ、単にモミ合い(調整)といっても意味があります。昨年のトランプショック時の鋭角的で瞬間的な下への「往ってこい」の調整に対し、いまの調整が時間をかけた対照的な動きになっていることが重要なのです。この対照的な動きは、オータネーションといいます。どういうことかといいますと、5つの波で構成される上昇トレンドには3つの上げと2つの下げ(調整)が入っていますが、その2つの調整は同じパターンにはならない、というテクニカル分析の1つの理屈です。もちろん、絶対そうなるとは言い切れませんが、株価が今、トレンド上のどこにいるかの位置を確認する上での目安にはなります。なので、今の日経平均は1つのトレンド上では、「最後の上げ待ち」の状態と考えることができます。
上昇あるいは横ばいが続く25日移動平均線に、下方で上昇を続けている75日移動平均線が近づくいつかのタイミングできっと、何らかの材料が出現し、株価は上放れていくような気がします。
SQ後の上昇を加速する材料の出現となるならば、4月~5月には日本株は年内で最もいい時期を迎えることになるかもしれません。
東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
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