ダウ平均は30年ぶりの連続記録(13日連続最高値)更新を逃してしまった、と思いきや、3月1日には300ドルを超す上昇となるなど、予測不能の「青天井」の状況となっています。1日現在、200日線からの上方かい離率は12.4%まで上昇し、短期的な過熱感は否めません。ダウ採用の30銘柄を対象にした騰落レシオの昨年ピークの平均は160%程度なのですが、1日現在で143.9%まで上昇、盛り上がる様相を呈しています。
さて、早いか遅いかは別にして、これから重要なのは、次の調整局面が押し目買いのチャンスになるか、また安値を切り上げることができるのか、ということになるでしょう。
図表1は、株価とNY証券取引所が発表している信用買い残の推移です。おおむねトレンドは同じ方向です。信用買い残が公表されている直近データは、1月末現在の5,132億ドル(金額ベース)です。これまでの史上最高が2015年4月の5,071億ドルで、2016年2月に4,358億ドルまで低下しましたが、1月で最高水準を更新したことになります。
おそらく、2月の相場つきから判断すると、増加基調が続いている可能性が十分あります。相場の波乱要因となる大爆弾を抱えているといえるわけですが、時価総額も増加しているため、市場規模に対する熱狂感はそこまで高まっているとは思えません。

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図表2をご覧ください。株価に加え、信用買い残を1年前からどれだけ増減したかを%でみたものです。過去の株価の大天井では、信用買い残の増えるスピードが速かったことがわかります。IT相場のとき、2007年高値の当時などは70%(1年前比)近くまで上昇しました。
一方、1月末現在でみると17.8%(1年前比)程度です。おそらく2015年と2016年の不安定な動きのなかで相当な買い方が相場から離散したのでしょう。足元はこれだけみると増加スピードが鈍いわけですが、当然ながら2月の株価は上昇し、信用買い残の増加率も高くなっている可能性が高いです。
仮に、2月に、これまで株価のミニ天井になることが多かった40%(1年前比)近い水準までの増加率になっているとした場合、金額ベースで6,200億ドル程度まで膨らんでいないといけない。
果たしてそこまで増えているだろうか?
1月が5,132億ドルでしたので、1カ月で約20%増えることになります。過去1カ月で20%も増えたことはありません。今後もないとは言い切れませんが、短期的にはあってもミニ天井ぐらいといえます。大天井をつけるほどの熱狂感はまだ先の話。つまり、次の押し目は買い場になるのではないでしょうか。
ダウ平均の2016年からの上昇を予測する上で、日経平均のバブル当時の1988年~1989年に照らし合わせるとどうでしょう。

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東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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